Prof.Sawadaの薬剤師ヒヤリ・ハット・ホット
事例108

クラリチンDS0.5g/包の既製品を1g/包と勘違い!

ヒヤリした!ハットした!

クラリチンドライシロップ1%<ロラタジン>を全量14gのところ、誤って7gで調剤してしまった。

<処方>50歳代の女性。病院の皮膚科。処方オーダリング。

クラリチンドライシロップ1% 1g 1日1回 夕食後 14日分

<効能効果>

アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒

どうした?どうなった?

患者は蕁麻疹のために皮膚科にかかり、<処方>が出された。
薬剤師が集薬すべき全量は14g(1g×14日分)であるが、7g(既製の分包品0.5g/包×14包)しか調剤しなかった。即ち、7g分(0.5g/包×14包)が不足であった。 鑑査時に気がつき、再調剤して正しい数量を交付した。

なぜ?

薬剤師は、既成の分包品が1g/包であると思い違いをしてしまった。また、0.5g/包の分包品が存在することも認識していなかった。製剤の包装に印字されている包装単位(5mg/0.5g)を確認しなかった。

ホットした!

以下の対応策が考えられる。
(1)製剤の包装に記載されている包装単位を必ず確認する。
(2)既成の分包品の規格単位を一覧表にして薬局内で情報を共有する。更に、代表的な分包品の包装単位をしっかり覚えておくとともに、調剤時にもしっかりと確認する。
(3)初めて調剤する薬剤の場合は、製品に記載されている単位や、(2)の一覧表、医療用添付文書を必ず確認する。
(4)1包何グラムかひと目で分かるよう、調剤棚にラベルしておく。

もう一言

既成の分包品として0.5g/包しかない製品としては、例えば下記の薬剤をあげることができる。

  • ・アレロック顆粒0.5%<オロパタジン塩酸塩>
  • ・ファロムドライシロップ小児用10%<ファロペネムナトリウム水和物>
  • ・ホクナリンドライシロップ0.1%小児用<ツロブテロール塩酸塩>
  • ・クラリスドライシロップ10%小児用<クラリスロマイシン>

これらの製剤は1g/回で処方される可能性があるので、調剤時には同様の注意が必要である。

澤田教授

澤田教授
四半世紀にわたって医療・介護現場へ高感度のアンテナを張り巡らし、薬剤師の活動の中から新しい発見、ヒヤリ・ハット・ホット事例を収集・解析・評価し、薬剤師や医師などの医療者や患者などの医療消費者へ積極的に発信している。最近は、医薬分業(薬の処方と調剤を分離し、それぞれを医師と薬剤師が分担して行うこと)のメリットを全国民に理解してもらうためにはどのような仕組みとコンテンツが必要かや、医療・介護の分野でDXが進む中で薬剤師はどのような役割を果たすべきかなどを、日々考えている。

薬学者。東京大学薬学部卒業。その後、米国国立衛生研究所研究員、東京大学医学部助教授、九州大学大学院薬学研究院教授、東京大学大学院情報学環教授を経て、現在、東京大学大学院薬学系研究科客員教授。更に、NPO法人 医薬品ライフタイムマネジメントセンター理事長・センター長。著書には「ポケット医薬品集2024」(南山堂,2024年)、「処方せんチェック・ヒヤリハット事例解析 第2集」(じほう,2012年)、「ヒヤリハット事例に学ぶ服薬指導のリスクマネジメント」(日経BP社,2011年)、「処方せんチェック虎の巻」(日経BP社,2009年)、「薬学と社会」(じほう,2001年)、「薬を育てる 薬を学ぶ」(東京大学出版会,2007年)など他多数。

記事作成日:2020年1月15日

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