Prof.Sawadaの薬剤師ヒヤリ・ハット・ホット
事例132

配合変化への注意が足りず、レザルタス配合錠とメトグルコ錠を一包化

ヒヤリした!ハットした!

レザルタス配合錠<オルメサルタンメドキソミル・アゼルニジピン>とメトグルコ錠<メトホルミン塩酸塩>は、一包化を避ける必要があったが、一包化して交付してしまった。薬剤師は、オルメサルタンとメトホルミンで配合変化が起こること、レザルタスはオルメサルタンとアゼルニジピンの配合剤であることは認識していたが、レザルタスとメトホルミンでの配合変化をイメージすることができなかった。

<処方1>60歳代の男性。病院の消化器科。処方オーダリング。

レザルタス配合錠HD 1錠 1日1回 朝食後28日分
メトグルコ錠250mg 3錠 1日3回 毎食後28日分
他5種類、一包化

<効能効果>

●レザルタス配合錠LD・HD<オルメサルタンメドキソミル・アゼルニジピン>
高血圧症
●メトグルコ錠250mg・500mg<メトホルミン塩酸塩>
2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。
(1)食事療法・運動療法のみ
(2)食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用

どうした?どうなった?

前回、アムロジン錠10mg<アムロジピンベシル酸塩>からレザルタス配合錠HDに処方変更されたが、これまで通り一包化をして交付した。
今回もDO処方され、一包化を作成していた。レザルタス配合錠を分包機のコンベアに手撒きしている時に、特異な臭いがして「オルメサルタンは相変わらず臭うな。」と思い、メトグルコ錠と一緒に分包してはいけないことに気づいた。
患者に事情を説明して、今回からレザルタスのみPTPシートで交付することになった。幸い、前回交付分は変色しなかったとのことだった。

なぜ?

前回の調剤に関わった薬剤師は皆、オルメテック<オルメサルタンメドキソミル>とメトグルコの分包は避ける必要があることを認識していた。また、レザルタスはオルメサルタンとアゼルニジピンの配合剤であることも認識していた。しかし、レザルタスとメトグルコが同一処方箋に記載されているにもかかわらず、前回は両剤の一包化に対して注意が至らなかった(瞬時にレザルタスとメトグルコの組み合わせに問題あるとイメージできなかった)。

ホットした!

自動分包機の目立つところに、分包回避の組み合わせを記載して掲示した。更に、鑑査台の目立つところに配合剤一覧を掲示して、配合内容を随時チェックできるようにし、調剤室内で以下の標語を掲示することにした。

**配合剤と他剤の配合変化に注意!**

澤田教授

澤田教授
四半世紀にわたって医療・介護現場へ高感度のアンテナを張り巡らし、薬剤師の活動の中から新しい発見、ヒヤリ・ハット・ホット事例を収集・解析・評価し、薬剤師や医師などの医療者や患者などの医療消費者へ積極的に発信している。最近は、医薬分業(薬の処方と調剤を分離し、それぞれを医師と薬剤師が分担して行うこと)のメリットを全国民に理解してもらうためにはどのような仕組みとコンテンツが必要かや、医療・介護の分野でDXが進む中で薬剤師はどのような役割を果たすべきかなどを、日々考えている。

薬学者。東京大学薬学部卒業。その後、米国国立衛生研究所研究員、東京大学医学部助教授、九州大学大学院薬学研究院教授、東京大学大学院情報学環教授を経て、現在、東京大学大学院薬学系研究科客員教授。更に、NPO法人 医薬品ライフタイムマネジメントセンター理事長・センター長。著書には「ポケット医薬品集2024」(南山堂,2024年)、「処方せんチェック・ヒヤリハット事例解析 第2集」(じほう,2012年)、「ヒヤリハット事例に学ぶ服薬指導のリスクマネジメント」(日経BP社,2011年)、「処方せんチェック虎の巻」(日経BP社,2009年)、「薬学と社会」(じほう,2001年)、「薬を育てる 薬を学ぶ」(東京大学出版会,2007年)など他多数。

記事作成日:2021年3月8日

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