Prof.Sawadaの薬剤師ヒヤリ・ハット・ホット
事例40

ノルバスクOD錠の10錠と14錠のPTPシートを別薬と思った患者

ヒヤリした!ハットした!

“ノルバスクOD錠5mg”の10錠PTPシートと14錠PTPシートが違って見えたため、患者は、薬剤師が先発品と後発品とを渡し間違えたのではないかと思った。

<処方1>73歳の女性。病院の内科。印字出力/処方オーダ。

ノルバスクOD錠 5mg 1錠 1日1回 朝食後 28日分

<効能効果>

●ノルバスク錠 2.5mg・5mg・10mg、OD錠 2.5mg・5mg・10mg(アムロジピンベシル酸塩)高血圧症、狭心症

どうした?どうなった?

患者は、以前に一度だけ、ノルバスクOD錠5mgの後発品を希望して服用したが、「溶け方、味が嫌だったので、先発品に戻してほしい。」と希望した。そのため、それ以降は先発品で調剤していた。しかし、今回の来局時に、患者が「この前はジェネリックが調剤されていた。変更しないで欲しい!医師が処方している薬を出してください。薬を飲むのがストレスになって、血圧が上がってしまう。」と怒りを交えて訴えた。薬歴に「後発品への変更希望なし。注意すること!」と記載して気をつけており、後発品を調剤した記録もないため、確認のため、先発品と後発品のPTPシートを患者に見比べてもらった。すると、患者は先発品を指差し、「これが入っていた。以前はもっと長い(PTPシート)のが2枚(14錠シート2枚の28錠)重ねて束ねてあったけど、この前は短くて、3枚(10錠シート2枚と8錠)重ねてあった。」と話した。この時点で、患者は10錠シートのノルバスクOD錠5mgを、いつも(14錠シート)と違う後発品であると、誤解していることがわかった。 薬剤師は、ノルバスクOD錠5mgには、10錠シートと14錠シートの二種類があることを説明し、後発品を調剤したわけではないこと、さらに、シートの違いについて説明不足であったことを謝罪したところ、患者は納得した。

なぜ?

今まで同様の問題が起きたことがなかったため、薬剤師は事前の細やかな説明を怠ってしまった。 この薬局では、10錠シートと14錠シートのどちらも採用しており、在庫の状況によっていずれかを発注していたため、統一されていなかった。

ホットした!

患者は、薬剤の名称よりも、色やデザイン、PTPシートの長さや大きさなど、視覚で認識していることも多く、ちょっとした違いについても、患者の目線になって説明するよう心がける。PTPシートの錠数はできる限り、一種類に統一する。それが不可能な場合には、一人の患者に対しては、10錠シートと14錠シートのどちらかに統一し、途中で変更などしない。

もう一言

シートの大きさ以外にも、ノルバスクOD錠の10錠シートは横向きにミシン目が入っており、2錠ずつ切り取れるようになっているが、14錠シートは縦向きにミシン目が入っており、7錠ずつに切り取れるようになっている点も異なるので、注意が必要である。

澤田教授

澤田教授
四半世紀にわたって医療・介護現場へ高感度のアンテナを張り巡らし、薬剤師の活動の中から新しい発見、ヒヤリ・ハット・ホット事例を収集・解析・評価し、薬剤師や医師などの医療者や患者などの医療消費者へ積極的に発信している。最近は、医薬分業(薬の処方と調剤を分離し、それぞれを医師と薬剤師が分担して行うこと)のメリットを全国民に理解してもらうためにはどのような仕組みとコンテンツが必要かや、医療・介護の分野でDXが進む中で薬剤師はどのような役割を果たすべきかなどを、日々考えている。

薬学者。東京大学薬学部卒業。その後、米国国立衛生研究所研究員、東京大学医学部助教授、九州大学大学院薬学研究院教授、東京大学大学院情報学環教授を経て、現在、東京大学大学院薬学系研究科客員教授。更に、NPO法人 医薬品ライフタイムマネジメントセンター理事長・センター長。著書には「ポケット医薬品集2024」(南山堂,2024年)、「処方せんチェック・ヒヤリハット事例解析 第2集」(じほう,2012年)、「ヒヤリハット事例に学ぶ服薬指導のリスクマネジメント」(日経BP社,2011年)、「処方せんチェック虎の巻」(日経BP社,2009年)、「薬学と社会」(じほう,2001年)、「薬を育てる 薬を学ぶ」(東京大学出版会,2007年)など他多数。

記事作成日:2017年2月13日

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