Prof.Sawadaの薬剤師ヒヤリ・ハット・ホット
事例21

貼付剤の1袋あたりの入り数の違いに気づかず、倍量で調剤

ヒヤリした!ハットした!

患者からジェネリック医薬品への変更希望があったため、モーラスパップ30mg<一般名ケトプロフェン>(7枚入り/1袋)のジェネリック医薬品であるケトプロフェンテープ30mg「サワイ」で調剤したところ、後者は14枚入り/1袋であることに気がつかず、処方せん通りの16袋を調剤してしまった。

<処方1>70歳代の女性。病院の内科。オーダー/印字出力。

モーラスパップ 30mg(7枚入り) 16袋 1日 1-2回 貼付
  • 下記の疾患並びに症状の鎮痛・消炎
    • 変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛

どうした?どうなった?

患者からジェネリック医薬品への変更希望があったため、モーラスパップ30mgのジェネリック医薬品であるケトプロフェンテープ30mg「サワイ」で調剤することとした。

モーラスパップ30mgは1袋7枚入りが16袋で処方されているが、ケトプロフェンテープ30mg「サワイ」は1袋14枚入りなので、8袋を調剤すればよかった。しかし、包装単位が異なっていることに気づかず、間違って処方せん記載通りに16袋を調剤してしまった(結果として2倍の枚数を調剤してしまった)。患者に交付する前の最終確認時に間違いが判明した。

なぜ?

先発医薬品とジェネリック医薬品間での包装単位の違いを全く認識していなかった。

ホットした!

先発医薬品とジェネリック医薬品間では包装単位が異なる場合があることを十分認識して、注意深く調剤・鑑査する。この他、同一製品であっても複数の包装単位が存在するケースもあるので注意が必要である。今回のモーラスパップ30mgも6枚入りと7枚入りの包装がある。

薬局内で、先発医薬品とジェネリック医薬品間で包装単位が異なる医薬品をリストアップして注意を喚起する。

もう一言

ケトプロフェンパップ30mgの先発医薬品とジェネリック医薬品の1袋の枚数を以下にまとめる。

販売名 1袋の入数 メーカー
(先発医薬品)
モーラスパップ 30mg 6枚、7枚 久光、祐徳
ミルタックスパップ 30mg 6枚、7枚 ニプロパッチ
(ジェネリック医薬品)
ケトプロフェンテープ 30mg「サワイ」 14枚 沢井製薬
ケトプロフェンテープ 30mg「ラクール」 6枚、7枚 三友
ケトプロフェンテープ 30mg「日医工」 7枚 日医工
タッチロンパップ 30 7枚 三和化学
パッペンKパップ 30mg 7枚 佐藤製薬
澤田教授

澤田教授
四半世紀にわたって医療・介護現場へ高感度のアンテナを張り巡らし、薬剤師の活動の中から新しい発見、ヒヤリ・ハット・ホット事例を収集・解析・評価し、薬剤師や医師などの医療者や患者などの医療消費者へ積極的に発信している。最近は、医薬分業(薬の処方と調剤を分離し、それぞれを医師と薬剤師が分担して行うこと)のメリットを全国民に理解してもらうためにはどのような仕組みとコンテンツが必要かや、医療・介護の分野でDXが進む中で薬剤師はどのような役割を果たすべきかなどを、日々考えている。

薬学者。東京大学薬学部卒業。その後、米国国立衛生研究所研究員、東京大学医学部助教授、九州大学大学院薬学研究院教授、東京大学大学院情報学環教授を経て、現在、東京大学大学院薬学系研究科客員教授。更に、NPO法人 医薬品ライフタイムマネジメントセンター理事長・センター長。著書には「ポケット医薬品集2024」(南山堂,2024年)、「処方せんチェック・ヒヤリハット事例解析 第2集」(じほう,2012年)、「ヒヤリハット事例に学ぶ服薬指導のリスクマネジメント」(日経BP社,2011年)、「処方せんチェック虎の巻」(日経BP社,2009年)、「薬学と社会」(じほう,2001年)、「薬を育てる 薬を学ぶ」(東京大学出版会,2007年)など他多数。

記事作成日:2016年6月9日

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