Prof.Sawadaの薬剤師ヒヤリ・ハット・ホット
事例114

後発品と先発品で包装規格に相違があることへの認識不足

ヒヤリした!ハットした!

患者が後発医薬品を希望したが、1本70gのインドメタシンクリームの在庫がなかった。他のメーカーの包装規格はすべて25g、50gであったため、処方変更のための疑義照会が必要になってしまった。

<処方1>60歳代の男性。病院の皮膚科。処方オーダリング。

イドメシンコーワクリーム1% 70g 全2本 1日2~3回 肩周囲に塗布

<効能効果>

●イドメシンコーワクリーム1%、インドメタシンクリーム1%「日医工」<インドメタシン>
下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、
筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛

どうした?どうなった?

以前より後発医薬品の希望が患者からあったため、薬剤師は今回処方された薬についても後発医薬品に変更できることを伝えた。
その後、薬局に在庫のあるインドメタシンクリーム「日医工」を確認したところ、後発品の包装は1本25gであった。さらに調べたところ、インドメタシンクリームの他の後発品にも、1本70gの包装規格は存在しなかった。

患者に医薬品の内容量が異なることを説明し、包装規格を変更する提案を行ったところ、同意が得られた。そこで、医師に疑義照会して、<処方2>に変更となった。

<処方2>

【般】インドメタシンクリーム1% 25g 全6本 1日2~3回 肩周囲に塗布

なぜ?

イドメシンコーワクリームは、2012年8月に既存の規格であった25gおよび50gの包装規格(金属チューブ)が販売中止となり、2012年4月より35gおよび70gの包装規格(ラミネートチューブ)のみが販売されている。
しかし、同一成分の後発品は、過去の包装規格である25gおよび50gに対応しているため、含量に不一致が生じたと考えられる。
これらの事情を薬剤師は認識していなかった。

ホットした!

薬局内で備蓄している医薬品について確認を行い、1包装あたりの含量が異なる医薬品のリストを作成し、スタッフに注意喚起を行う。

もう一言

インドメタシンクリーム1%の各メーカー製品の規格単位と包装単位を以下に示す。

イドメシンコーワクリーム1% 35g×10本、70g×10本
インドメタシンクリーム1%「日医工」 25g×10本、50g×10本
ミカメタン-クリーム1% 25g×10本、25g×50本、50g×10本、50g×50本
インテバンクリーム1% 25g×10、25g×50、50g×10
インドメタシンクリーム1%「サワイ」 25g×50
澤田教授

澤田教授
四半世紀にわたって医療・介護現場へ高感度のアンテナを張り巡らし、薬剤師の活動の中から新しい発見、ヒヤリ・ハット・ホット事例を収集・解析・評価し、薬剤師や医師などの医療者や患者などの医療消費者へ積極的に発信している。最近は、医薬分業(薬の処方と調剤を分離し、それぞれを医師と薬剤師が分担して行うこと)のメリットを全国民に理解してもらうためにはどのような仕組みとコンテンツが必要かや、医療・介護の分野でDXが進む中で薬剤師はどのような役割を果たすべきかなどを、日々考えている。

薬学者。東京大学薬学部卒業。その後、米国国立衛生研究所研究員、東京大学医学部助教授、九州大学大学院薬学研究院教授、東京大学大学院情報学環教授を経て、現在、東京大学大学院薬学系研究科客員教授。更に、NPO法人 医薬品ライフタイムマネジメントセンター理事長・センター長。著書には「ポケット医薬品集2024」(南山堂,2024年)、「処方せんチェック・ヒヤリハット事例解析 第2集」(じほう,2012年)、「ヒヤリハット事例に学ぶ服薬指導のリスクマネジメント」(日経BP社,2011年)、「処方せんチェック虎の巻」(日経BP社,2009年)、「薬学と社会」(じほう,2001年)、「薬を育てる 薬を学ぶ」(東京大学出版会,2007年)など他多数。

記事作成日:2020年4月11日

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