Prof.Sawadaの薬剤師ヒヤリ・ハット・ホット
事例138

リパクレオンカプセルの1シート当たりの数に注意

ヒヤリした!ハットした!

リパクレオンカプセル150mg<パンクレリパーゼ>を168カプセルで調剤すべきところ、誤って200カプセルで調剤してしまった。その原因は、1シート10カプセルだと思い込んでしまったところにある(正しくは1シート12カプセルである)。

<処方1>80歳代の女性。病院の内科。

リパクレオンカプセル150mg 12Cap 1日3回毎食直後 14日分
―他の併用薬は省略―

<効能効果>

●リパクレオンカプセル150mg<パンクレリパーゼ>
・膵外分泌機能不全における膵消化酵素の補充

どうした?どうなった?

調剤した薬剤師は、リパクレオンカプセル150mgの168カプセルを調剤するにあたり、PTPシート16枚+8カプセルを集薬した。リパクレオンカプセルは1シート=12カプセルであるため、12カプセル×16シート+8カプセル=200カプセルであったが、鑑査した薬剤師も間違いに気付かなかった。

なぜ?

調剤した薬剤師は、リパクレオンカプセルを1シート=10カプセルと思い込んでいた。当該薬局には1シート=12カプセルの医薬品は他には無かった。リパクレオンカプセルが採用された当初にも、1シートを10カプセルまたは14カプセルと思い込んだことによる数量間違いが数件起こっていた。

ホットした!

調剤棚に「リパクレオン:PTPシート1枚=12カプセル」と表示し、注意喚起することにした。

もう一言

リパクレオンカプセルの用法用量は以下である。

『通常、パンクレリパーゼとして1回600mgを1日3回、食直後に経口投与する。なお、患者の状態に応じて、適宜増減する。』

1回4カプセルを1日3回服用なので、1日分としては合計12カプセルということなる。即ち、1日あたりPTPシート1枚を服用することになり、調剤や服薬において利便性が高いと考えられる。

澤田教授

澤田教授
四半世紀にわたって医療・介護現場へ高感度のアンテナを張り巡らし、薬剤師の活動の中から新しい発見、ヒヤリ・ハット・ホット事例を収集・解析・評価し、薬剤師や医師などの医療者や患者などの医療消費者へ積極的に発信している。最近は、医薬分業(薬の処方と調剤を分離し、それぞれを医師と薬剤師が分担して行うこと)のメリットを全国民に理解してもらうためにはどのような仕組みとコンテンツが必要かや、医療・介護の分野でDXが進む中で薬剤師はどのような役割を果たすべきかなどを、日々考えている。

薬学者。東京大学薬学部卒業。その後、米国国立衛生研究所研究員、東京大学医学部助教授、九州大学大学院薬学研究院教授、東京大学大学院情報学環教授を経て、現在、東京大学大学院薬学系研究科客員教授。更に、NPO法人 医薬品ライフタイムマネジメントセンター理事長・センター長。著書には「ポケット医薬品集2024」(南山堂,2024年)、「処方せんチェック・ヒヤリハット事例解析 第2集」(じほう,2012年)、「ヒヤリハット事例に学ぶ服薬指導のリスクマネジメント」(日経BP社,2011年)、「処方せんチェック虎の巻」(日経BP社,2009年)、「薬学と社会」(じほう,2001年)、「薬を育てる 薬を学ぶ」(東京大学出版会,2007年)など他多数。

記事作成日:2021年5月24日

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