端数のPTPシートを組み合わせて調剤
ブロプレス錠4<カンデサルタンシレキセチル>の60錠を調剤するとき、10錠シート5枚(50錠分)、6錠分のシート1枚、4錠分のシート1枚で用意したところ、患者より「いつも端数のシートばかりもらう。10錠シートを6枚で欲しい」とクレームがあった。
<処方1>70歳代の男性。病院の内科。処方オーダリング。
ブロプレス錠4(4mg) | 1錠 1日1回 朝食後 60日分 |
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<効能効果>
・高血圧症
・腎実質性高血圧症
・下記の状態で、アンジオテンシン変換酵素阻害剤の投与が適切でない場合
慢性心不全(軽症~中等症)
薬剤師は使用期限が近い薬から調剤しようと思い、端数となっているPTPシートを組み合わせて調剤し、交付しようとしたところ、上記のクレームを受けた。
患者にはお詫びし、10錠シート×6枚で薬を渡した。
当該患者に対しては、今後も10錠シートで薬を交付するよう薬歴に記載した。
当薬局では、ブロプレス錠を調剤する頻度がそれほど高くないので、使用期限を気にしてしまった。
これまで、同様の調剤の仕方で薬を渡しても、クレームを受けたことがなかったため、特に患者には説明していなかった。
やむを得ず、端数となっている複数のPTPシートを組み合わせて調剤した場合、交付前に一言説明(「1シートあたりの個数が異なりますが、全体の個数は合っています。よろしいでしょうか?」など)を付け加える。
端数となったシートは一包化の処方があった場合や、下記のように端数が同じ数となった場合などに使用する。但し、使用頻度が低い薬剤である場合、そのまま不動在庫となり期限切れとなってしまう可能性もある。
<処方2>
ブロプレス錠4(4mg) | 1錠 1日1回 朝食後 64日分 |
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PTPシートの端数を組み合わせて患者に交付すると、服薬ミスにつながる場合もある。以下に具体的な事例を示す。
薬剤を区別する患者ならではの工夫
患者は、デパス錠0.5mg<エチゾラム>とテシプール錠1mg<セチプチリンマレイン酸塩>のPTPシートが似ていると感じていたため、両者を区別するためにテシプールのPTPシートを縦にはさみで切って5錠×2枚にしていた。いつもは10錠シート1枚と4錠という組み合わせで交付していたが、端数のシートを組み合わせて手渡してしまったことがあった。それによって患者はデパスとテシプールが区別できず、デパスとテシプールを1錠ずつ、計2錠を服用すべきところ、デパスを2錠服用してしまった日があった。薬剤師は、薬剤に対して抱いている悩みや対処法について把握していなかった。
澤田康文著「ヒヤリハット事例に学ぶ服薬指導のリスクマネジメント・4」日経BP社(2011)より
澤田教授
四半世紀にわたって医療・介護現場へ高感度のアンテナを張り巡らし、薬剤師の活動の中から新しい発見、ヒヤリ・ハット・ホット事例を収集・解析・評価し、薬剤師や医師などの医療者や患者などの医療消費者へ積極的に発信している。最近は、医薬分業(薬の処方と調剤を分離し、それぞれを医師と薬剤師が分担して行うこと)のメリットを全国民に理解してもらうためにはどのような仕組みとコンテンツが必要かや、医療・介護の分野でDXが進む中で薬剤師はどのような役割を果たすべきかなどを、日々考えている。
薬学者。東京大学薬学部卒業。その後、米国国立衛生研究所研究員、東京大学医学部助教授、九州大学大学院薬学研究院教授、東京大学大学院情報学環教授を経て、現在、東京大学大学院薬学系研究科客員教授。更に、NPO法人 医薬品ライフタイムマネジメントセンター理事長・センター長。著書には「ポケット医薬品集2024」(南山堂,2024年)、「処方せんチェック・ヒヤリハット事例解析 第2集」(じほう,2012年)、「ヒヤリハット事例に学ぶ服薬指導のリスクマネジメント」(日経BP社,2011年)、「処方せんチェック虎の巻」(日経BP社,2009年)、「薬学と社会」(じほう,2001年)、「薬を育てる 薬を学ぶ」(東京大学出版会,2007年)など他多数。
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- 事例196
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- 事例194
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- 事例187
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- 事例186
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- 事例184
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- 事例176
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- 事例174
- 骨折でドライブスルー利用した患者への配慮不足
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- 事例173
- 腎臓疾患患者へのアスパラカリウム錠処方を疑義照会
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- 事例172
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- 事例170
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- 事例168
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- 事例150
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- 事例147
- 中止すべきバイアスピリンを患者が誤って服用
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- 事例144
- 前回処方年月日を見誤り、的外れな服薬指導
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- 事例142
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- 事例141
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- 事例138
- リパクレオンカプセルの1シート当たりの数に注意
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- 事例137
- パーキンソン病治療薬による病的賭博の副作用を発見
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- 事例134
- ムコスタ点眼液UDの副作用の説明不足
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- 事例131
- 患者の認識と処方内容に違和感を覚え疑義照会
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- 事例128
- アロマシン錠に関しての患者の理解度の確認不足
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- 事例124
- 介護者の負担軽減のために服薬ゼリーの使い方を指導
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- 事例122
- 腎機能が悪くない患者にケイキサレート散が処方
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- 事例121
- クラビット錠の疑義照会で、偽造処方箋が発覚
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- 事例120
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- 事例118
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- 事例111
- 高用量ベネットによる副作用の認識不足
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- 事例109
- 水痘患者への亜鉛華単軟膏の処方を疑義照会
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- 事例107
- 端数のPTPシートを組み合わせて調剤
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- 事例105
- フォルテオ保管方法の説明不足
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- 事例104
- 腎機能低下者に通常用量でシタグリプチンが処方
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- 事例102
- 患児の外見と記載の体重に違和感を覚え疑義照会
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- 事例101
- ナウゼリンの1回量過量の見逃し
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- 事例98
- 異なるPTPシートによる数量の誤調剤
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- 事例97
- 漢方薬初回処方患者への副作用の説明不足
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- 事例96
- 視覚障害者に最適なうがい液へ疑義照会
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- 事例95
- 1回量と1日量を読み違えて誤調剤
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- 事例89
- スタチンの一般名を病院外来事務職員が誤認
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- 事例76
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- 事例64
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- 事例60
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- 事例37
- シプロキサンとルボックスは併用禁忌?
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- 事例14
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- 事例10
- 遮光が必要なのはモーラステープ?
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- 事例01
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