ボンアルファハイ軟膏20µg/gとボンアルファ軟膏2µg/gを誤調剤
ボンアルファハイ軟膏20µg/gを調剤すべきところ、誤ってボンアルファ軟膏2µg/g<共に、タカルシトール水和物>を誤調剤してしまった。
<処方>50歳代の女性。病院の内科。処方オーダリング。
ボンアルファハイ軟膏20µg/g | 2本 1日1回 体の患部 |
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<効能効果>
●ボンアルファハイ軟膏20µg/g
尋常性乾癬
●ボンアルファ軟膏2µg/g
乾癬、魚鱗癬、掌蹠膿疱症、掌蹠角化症、毛孔性紅色粃糠疹
調剤者(経験年数2年目の新人薬剤師)は、ボンアルファハイ軟膏20µg/gの処方に対して、商標名の先頭部分のみを見て調剤してしまったため、間違ってボンアルファ軟膏2µg/gを集薬していた。
鑑査者(ベテラン薬剤師)が気づいたため、再調剤し、正しく薬を交付することができた。
調剤者は、ボンアルファ軟膏(2µg/g)とボンアルファハイ軟膏(20µg/g)の2規格があることを知らなかった。調剤後の自己鑑査時も、ボンアルファの名称部分のみしか確認せず、規格の確認を怠った。
医薬品名の「ボンアルファ」と「ボンアルファハイ」の類似性が高く、かつ、規格としても「2µg/g」と「20µg/g」で似ているため間違えてしまった。
両剤は調剤棚の隣同士に配置してあり、慣れていなければ間違って誤集薬する可能性があった。
調剤時、自己鑑査時は、処方箋と調剤した医薬品の医薬品名・剤形・規格単位を指差呼称しながら、確実に照合する。
ボンアルファ軟膏の調剤棚に、「ハイ軟膏もあるので注意!」とのラベルを貼付する。
服薬指導時にも、交付薬剤と写真入りの薬情と見比べるなど、患者と外観を確認する。
表.ボンアルファ、ボンアルファハイの剤形・規格、適応症、用法用量
医薬品名 | 適応症 | 用法用量 |
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ボンアルファ軟膏2µg/g ボンアルファクリーム2µg/g ボンアルファローション2µg/g |
乾癬、魚鱗癬、掌蹠膿疱症、掌蹠角化症、毛孔性紅色粃糠疹 | 通常1日2回 適量を患部に塗布 |
ボンアルファハイ軟膏20µg/g ボンアルファハイローション20µg/g |
尋常性疥癬 | 通常1日1回 適量を患部に塗布 |
ボンアルファローション(2µg/g)とボンアルファハイローション(20µg/g)においても、本事例と同様な誤調剤が起こる可能性があるので注意する必要がある。
澤田教授
四半世紀にわたって医療・介護現場へ高感度のアンテナを張り巡らし、薬剤師の活動の中から新しい発見、ヒヤリ・ハット・ホット事例を収集・解析・評価し、薬剤師や医師などの医療者や患者などの医療消費者へ積極的に発信している。最近は、医薬分業(薬の処方と調剤を分離し、それぞれを医師と薬剤師が分担して行うこと)のメリットを全国民に理解してもらうためにはどのような仕組みとコンテンツが必要かや、医療・介護の分野でDXが進む中で薬剤師はどのような役割を果たすべきかなどを、日々考えている。
薬学者。東京大学薬学部卒業。その後、米国国立衛生研究所研究員、東京大学医学部助教授、九州大学大学院薬学研究院教授、東京大学大学院情報学環教授を経て、現在、東京大学大学院薬学系研究科客員教授。更に、NPO法人 医薬品ライフタイムマネジメントセンター理事長・センター長。著書には「ポケット医薬品集2024」(南山堂,2024年)、「処方せんチェック・ヒヤリハット事例解析 第2集」(じほう,2012年)、「ヒヤリハット事例に学ぶ服薬指導のリスクマネジメント」(日経BP社,2011年)、「処方せんチェック虎の巻」(日経BP社,2009年)、「薬学と社会」(じほう,2001年)、「薬を育てる 薬を学ぶ」(東京大学出版会,2007年)など他多数。
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