Prof.Sawadaの薬剤師ヒヤリ・ハット・ホット
事例70

不十分な服薬指導でプラコデ配合シロップ剤をうがい薬として使用

ヒヤリした!ハットした!

「プラコデ配合シロップ」<ジヒドロコデインリン酸塩、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩>が処方された患者が、うがい薬と思い込んで、咳が出る時に本剤をうがい薬として利用していた。

<処方>70歳代の男性。内科クリニック。印字出力。

アレロック錠5mg 2錠 1日2回 朝夕食後 7日分
プラコデ配合シロップ 3mL 咳嗽時 10回分

<効能効果>

●プラコデ配合シロップ<ジヒドロコデインリン酸塩、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩>
下記疾患に伴う咳嗽
急性気管支炎、慢性気管支炎、感冒・上気道炎、肺炎、肺結核

どうした?どうなった?

患者は、風邪をひいて受診しており、咳と鼻水の症状がよくならないとのことで、2回目の受診時に処方変更になり、プラコデ配合シロップが処方されていた<処方>。患者は、かなり以前にもプラコデ配合シロップが処方されたことがあったが、シロップは希釈し、1回3mLを服用するように服薬指導していた。
今回、3回目の受診をした後に、患者の妻が薬を取りに来局した。来局した患者の妻に薬の説明をしていたところ、患者は本剤をうがい薬と思い込んで、咳が出る時にうがいをしていたことが判明した。

なぜ?

患者の妻は、患者と同じクリニックを定期受診している。患者が風邪で受診した前後、患者の妻には定期薬とともにイソジンガーグル液が続いて処方されていた。プラコデ配合シロップとイソジンガーグルは、容器は違うが薬剤の色が類似していたため、患者は自分に処方されたプラコデ配合シロップをイソジンガーグル液と同じうがい薬であると思い込んで、うがいをしていた可能性がある。
服薬指導時に飲み薬であることを説明していたが、患者は以前にもプラコデ配合シロップが処方されていたこともあり、まさか患者がうがい薬と勘違いするとは考えが及ばず、懇切丁寧な説明ができてなかった。

ホットした!

・服薬指導時に、今回のようなシロップ剤であれば、飲み薬であること、さらにうがい薬ではないこともはっきり伝える。
・以前に処方された薬でも、患者の理解度を確認しながら、しっかり説明する。
・今回に限らず、患者は思いもよらない方法で服用、使用することを認識し、分かりやすい言葉で説明するよう心がける。

もう一言

褐色の内服シロップ剤
今回の事例と同様に、感冒等で処方され、うがい薬と間違える可能性のある褐色の内服シロップ剤を以下に示す。

薬効 一般名 販売名 薬剤の色
解熱鎮痛薬 アセトアミノフェン アセトアミノフェンシロップ小児用2%「トーワ」 淡褐色~褐色
鎮咳薬 ジヒドロコデインリン酸塩・dl-メチルエフェドリン塩酸塩・クロルフェニラミンマレイン酸塩 クロフェドリンS配合シロップ 暗褐色
フスコデ配合シロップ 淡褐色
フスコブロン配合シロップ 淡褐色
プラコデ配合シロップ 褐色透明
ムコブロチン配合シロップ 淡褐色
鎮咳去痰薬 ジヒドロコデインリン酸塩・エフェドリン塩酸塩・塩化アンモニウム セキコデ配合シロップ 黒褐色
デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物・クレゾールスルホン酸カリウム メジコン配合シロップ 淡黄褐色透明
去痰薬 L-カルボシステイン ムコダインシロップ5% 褐色
C-チステンシロップ5% 褐色透明
カルボシステインシロップ小児用5%「テバ」 褐色
カルボシステインシロップ小児用5%「トーワ」 褐色
カルボシステインシロップ小児用5%「タカタ」 褐色
カルボシステインシロップ小児用5%「JG」 褐色
制吐薬 塩酸メトクロプラミド プラミールシロップ0.1% 黄色透明
澤田教授

澤田教授
四半世紀にわたって医療・介護現場へ高感度のアンテナを張り巡らし、薬剤師の活動の中から新しい発見、ヒヤリ・ハット・ホット事例を収集・解析・評価し、薬剤師や医師などの医療者や患者などの医療消費者へ積極的に発信している。最近は、医薬分業(薬の処方と調剤を分離し、それぞれを医師と薬剤師が分担して行うこと)のメリットを全国民に理解してもらうためにはどのような仕組みとコンテンツが必要かや、医療・介護の分野でDXが進む中で薬剤師はどのような役割を果たすべきかなどを、日々考えている。

薬学者。東京大学薬学部卒業。その後、米国国立衛生研究所研究員、東京大学医学部助教授、九州大学大学院薬学研究院教授、東京大学大学院情報学環教授を経て、現在、東京大学大学院薬学系研究科客員教授。更に、NPO法人 医薬品ライフタイムマネジメントセンター理事長・センター長。著書には「ポケット医薬品集2024」(南山堂,2024年)、「処方せんチェック・ヒヤリハット事例解析 第2集」(じほう,2012年)、「ヒヤリハット事例に学ぶ服薬指導のリスクマネジメント」(日経BP社,2011年)、「処方せんチェック虎の巻」(日経BP社,2009年)、「薬学と社会」(じほう,2001年)、「薬を育てる 薬を学ぶ」(東京大学出版会,2007年)など他多数。

記事作成日:2018年6月13日

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