いよいよ暑い夏が近づいてきました。そろそろ日焼けが心配される頃ではないでしょうか?日光を浴びること自体はビタミンD活性化に必要ですが、長いこと日光を浴びていると日焼けになってしまいます。基本的に軽い日焼けの場合には冷やしてやれば治ります。しかし、ひどくなると傷のようになり、衣服が触れると痛いといったように、痛みと炎症を伴った深刻な状態にもなりえます。今回は日焼けのメカニズムから、日焼けのケアに使用するOTCの使い分けについて解説します。

まずは日焼けの種類をおさえておこう!!

日焼けは、説明するなら皮膚がやけどしたような状態になることです。また、日焼けには、赤い日焼け(サンバーン)と黒い日焼け(サンタン)があります。この日焼けの原因となる紫外線にはUVA、UVB、UVCの3種類が存在します

UVCが1番強く、皮膚がんなどを引き起こしますが、通常オゾン層で吸収されてほとんど地上に届きません。UVBは皮膚の表面へ作用してすぐに影響を及ぼします。その反面、皮膚の奥には到達しません。これに対して、UVAは皮膚の奥まで到達して、しみなどの原因となりますが、その作用は遅く、ある程度時間が経ってから皮膚へ影響を与えるものです。

UVBによって数時間後に皮膚が赤くなるサンバーンとなり、その後UVAによってメラニン色素の生成が活性化されて、サンタンと呼ばれる皮膚が黒くなる状態になります。強めの紫外線ですぐに影響が出るUVBによるサンバーンのほうが、ひどい状態であることが多いです。ただ、肌の違いによっても影響は少し異なります。色黒の人は、日焼け後にしみになったり、赤くなってヒリヒリしたりすることは少ないですが、色白の人は赤くなってしまうことが多いです。日本人は黄色人種なので、そのちょうど中間的な影響が出る人が多いです。

日焼けケアに用いられるOTCとは??

日焼けケア用のOTCを薦める際には、個人差があるので、その方の肌の具合をきちんと確認することが必要となってきます。日焼け後に黒くならないよう、美白のために化粧水や美容液を使われる方も多いと思います。しかし、日焼け直後は肌が炎症を起こしているので、美容液は逆に刺激を与え、さらに肌を痛めてしまいます。肌にも浸透しません。ですので、まずは美白よりも日焼けそのものの治療を優先するべきです。

軽い日焼け程度ならOTCでも対応可能です。医療用の亜鉛華単軟膏などの成分でもある酸化亜鉛を含むパンパス軟膏は、炎症を抑えて皮膚を保護する働きがあります。こちらは作用がマイルドなので子どもにも使えます。同じくマイルドなものに、間宮アロエ軟膏aがあります。こちらは、アロエ成分が皮膚を修復してくれます。

炎症やかゆみが少し強い場合には、ステロイドを配合したもの(オイチミン®Dなど)も選択肢として考えられます。日焼け後に皮が捲れたりしてしまって傷のようになっている場合には、殺菌成分が入っているキップパイロール®-Hiやオロナイン®H軟膏、そして傷の回復を促進するアラントインを含んだメモAが良いかと思います。これらはガーゼなどに染み込ませて、そのガーゼごと患部へ貼るとより有効です。ヒリヒリがあるうちはこれらの薬を塗り、その後保湿剤へと移行して、最後に美容液という流れがおすすめです。

これらの塗り薬対策に加えて、同じくOTCのハイチオール®シリーズなどのビタミン剤や、デトックス剤を服用することで、身体の中からの日焼け後の対策を行うことができます。ビタミンCやBなどはできれば日焼けをする前に飲んでおくと、予防としても良いでしょう。ただ、日焼け後に水膨れができているなどあまりにもひどい場合には、無理をしてOTCで治そうとは考えずに、速やかに皮膚科を受診することをお勧めすることも薬剤師としての重要な責務です。こういった傷はすぐに治療すれば跡が残りにくいので、スピードが大事です。

薬剤師として、日焼けのメカニズムや対処法を、きちんと説明できるようにしておけると良いですね。

OTCに関するコラム