ジェネリック医薬品の使用が促進される中、ジェネリック医薬品の種類が増加し、薬局ごとの医薬品の在庫もさらに多様化してきています。こういった中で、後発医薬品への変更調剤のルールの把握は薬剤師にとって重要です。今回は変更調剤のルールについて確認してみましょう。

変更調剤できるケースとは??

薬剤師法に規定されているように、原則、薬剤師は処方箋に記載された医薬品に関しては、それを交付した医師・歯科医師・獣医師の同意を得ない限り、変更して調剤してはいけません。疑義照会なしで変更してもよいという変更調剤は、例外的に認められているものです。
その例外とは、処方薬が一般名で記載されている場合、もしくは、銘柄名で処方されていて変更不可に関する記載がない場合で、次の4つの条件が当てはまる後発品への変更です。たとえ下記に当てはまる先発品があり、安くなったとしても、後発品でなければ変更調剤はできません

(1)同一含量規格・同一剤形
(2)同一含量規格・異なる剤形
(3)異なる含量規格・同一剤形
(4)異なる含量規格・類似する別剤形

(1)のときには薬剤料が同額以下でなくても可能ですが、(2)〜(4)に関しては、必ず薬剤料が同額以下でなければいけません。薬価ではなく薬剤料であることに混乱する方も多いので、患者さんに説明できるようになるためにも、しっかりと理解しておきましょう。

薬剤料に関しては、以前、調剤報酬に関するコラムに記載したので、参考にしてみてください。

ジェネリックに変更しても安くならない?調剤報酬のポイントを確認しよう!!

また、(4)の類似する別剤形とは、内服薬が対象であり、外用薬に該当するものはありません。具体的には、下記の分類の範囲内の剤形のことを指しています。

錠剤(普通錠)、錠剤(口腔内崩壊錠)、カプセル剤、丸剤
散剤、顆粒剤、細粒剤、末剤、ドライシロップ剤(内服用固形剤として調剤する場合に限る)
液剤、シロップ剤、ドライシロップ剤(内服用液剤として調剤する場合に限る)

引用:厚生労働省 処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について

事例で考えてみよう!!

具体的な事例で考えてみましょう。まずは内用薬の事例です。

<変更前の処方>
ラシックス錠40mg(薬価14円)1錠 粉砕

 ↓

<変更後の処方>
フロセミド細粒4%「EMEC」(薬価6.4円)1g

この場合は、後発品への変更、かつ、(2)同一含量規格・異なる剤形 にあたるものなので、変更調剤可能です。粉砕の作業は意外と時間がかかるので、知っておくと便利です。

次に外用薬の例を考えてみましょう。

<変更前の処方>
ヒルドイドソフト軟膏0.3%(薬価23.7円)100g

 ↓

<変更後の処方>
ヘパリン類似物質油性クリーム0.3%「日医工」(薬価9円)100g

上記の変更は、後発品への変更、かつ、(1)同一含量規格・同一剤形にあたるものなので、変更調剤可能です。ただし、他の外用薬との混合指示ありの処方箋の場合には、配合変化に注意して変更しなければいけません。ルール上は変更可能でも、薬学的に不可ということです。こういう場合にはヘパリン類似物質油性クリームの別メーカーのものに変更するという、薬剤師としてはまさに腕の見せ所になります。具体的には、ネリゾナクリーム0.1%との混合の指示があるときには、日医工のものと混ぜると液状になってしまうので、ニプロのものなど別のメーカーの後発品を選ばないといけません。

基礎的医薬品への変更調剤は可能?

「基礎的医薬品」とは、薬価改定により薬価が下落することで安定供給が危惧される医薬品に対して、ある程度薬価を維持、安定供給できるようにした医薬品です。対象となる医薬品は、先発品と後発品の区別がありません。「後発品ではない」ため、基礎的医薬品への変更調剤は原則不可となります。ただし、2016年3月31日まで後発品だった品目への変更は可能です。対象となる「基礎的医薬品」のリストは、厚生労働省が発表しているので、確認してみてください。

厚生労働省 「診療報酬における加算等の算定対象となる後発医薬品」等について

変更調剤には、複雑な点が多いですが、ぜひきちんと理解しておきましょう。