皮膚炎や湿疹といった皮膚トラブルは、顔や腕などの目に見える場所にできることが多く、つらいものです。その上、ちょうど夏真っ盛りのこの時期、肌を露出することが多いので様々な刺激も加わり、より皮膚トラブルが増えてきます。今回はそういった時のOTC医薬品について復習してみましょう。

皮膚トラブルは多岐に渡る!!

湿疹・皮膚炎・かぶれといった症状がありますが、この違いについて意外と答えられない方も多いです。まずはしっかり、違いを知っておきましょう。
皮膚炎は皮膚に炎症が起きている状態を指しますが、湿疹も実は皮膚表面で炎症が発生しているものを指します。つまり、湿疹と皮膚炎は病態的には同じものだと思って良いです。似たものに、蕁麻疹がありますが、これは何らかの原因で一過性のぶつぶつができたり、出たり出なかったりを繰り替えします。それに比べて湿疹は、持続性があり、炎症があるうちは継続してぶつぶつがあります。かぶれは、正式には「接触性皮膚炎」と呼ばれ、何らかの原因物質が直接肌に触れることで生じます。原因としては金属、細菌、真菌など様々ですが、過剰な免疫により炎症が生じていることで起こります。
つまり、皮膚炎と湿疹は同じものなのです。その中でも原因物質が直接肌に接触して起こるものをかぶれと呼んでいる、ということです。

ステロイドの安全性が増した?!

皮膚炎の対応には、ステロイドを配合した外用剤がメインとなります。近年は殺菌成分などが入ったものなど、種類が多岐にわたります。そのため、軽い皮膚炎程度ならOTCで対処できるようになってきています。ここで覚えておきたいキーワードは「アンテドラッグ」という言葉です。元来、ステロイドに良いイメージを抱いていない方が一定数いたことの原因の1つとして、吸収後の全身作用が気になることがあげられます。アンテドラッグステロイド(以下、アンステ)は、薬を塗ったその患部では強い効果を示しますが、吸収されると分解して、低活性になり、全身性の副作用が起こりにくいという特徴を持ちます。ただここで注意しなければならないのは、全身には影響しなくても局所では効果を強く発揮するので、当然塗りすぎると局所での副作用は起こりうるということです。

実際のOTC医薬品での治療法とは!!

まずは、薬局に来られた患者さんの皮膚状態を見てみましょう。あくまで目安ですが、かゆみがあるものの、見た目がただカサカサになり、乾燥しているだけで赤みはない場合には、保湿剤だけで治療できることが多いです。ステロイドを使う時にも一番弱いものを使います。赤みが出てきた、皮がめくれている、腫れている、といった場合にはステロイドの出番です。そして皮膚が粉を吹いていたり、腫れがひどく腫れた部分が固くなっていたりするときには、ステロイドの飲み薬も併用するとよいかと思います。乾燥を伴う時には保湿剤も併用できますが、しみる場合には逆効果なので、ステロイド単独でいいかと思います。炎症部分から膿が出ているとか、湿疹が普通の湿疹と違って大きい、さらにそこに痛みがあるなどさらに重症な場合には、皮膚科受診をおすすめしましょう。
これらを踏まえて、OTC医薬品の特徴を見てみましょう。オイラックス®リペアPZ軟膏はアンステを含んでいます。皮膚がめくれている場合には、アンステに皮膚修復成分アラントインを加えたメンソレータム®メディクイック®軟膏Rがおすすめです。
また、かゆみがあり、かきむしってしまったなどの時には、ステロイドに加えて、殺菌成分と局所麻酔薬成分を含んだプレバリン®Α軟膏がおすすめです。患部が少しじくじくしているときには、吸湿性のあるマクロゴールを基材としているセロトピー軟膏が良いでしょう。ステロイドランクとしてはウィークであるものの、メントールを配合しているので冷感あるものとしては、エマゼン軟膏があります。プレバリン®Α軟膏とエマゼン軟膏は普通のステロイドですが、ステロイドだけではカバーできない部分を補うことができるものです。
炎症が少しひどくこれでは緩和できない時には、ストロングのベトネベート®N軟膏ASやフルコート®fがおすすめです。この2つにはフラジオマイシン硫酸塩という抗生剤が含まれているので、湿疹をかきむしってしまった場合にも効果を発揮します。

皮膚炎はなかなか難しい疾患ではありますが、薬剤師としてもある程度は対処できるようになってみてください。

OTCに関するコラム