医療用医薬品としても、OTCとしても歴史がある、うがい薬のイソジン。うがい薬以外にも、実はいろいろと応用できることをご存じでしょうか。また、それに伴って様々な注意点もあります。今回はこれをまとめてみましょう。

イソジンの成分と特色についてまずはみてみよう!!

知らない日本人はいないのではないか、といっても過言ではないほど有名な、うがい薬のイソジン。消毒薬としては、エタノールを用いた消毒アルコールのほうがより幅広い抗菌スペクトルを持ち、かつ使用後は揮発してなくなることから、手軽で便利ではあります。しかし、粘膜につけるとかなりしみるので、傷口に直接使うことが難しいです。一方、イソジンは粘膜にも使用可能なことが利点です。喉も粘膜組織なので、うがい薬として向いていると言えます。

イソジンの主成分はポピドンヨードです。ヨウ素をもとから含んでいるのではなく、ポンピヨードからヨウ素が遊離することで殺菌作用を示します。薬剤師として知っておくべき点は、甲状腺のホルモンにはヨウ素が関係しているということでしょう。甲状腺疾患を持っている方はヨウ素の代謝が変化しているために、イソジンを使ってはダメな場合もあります。特に何回もうがいをしなければならない時には、ヨウ素の体内への移行量も比例して増えるので、注意が必要です。

さらに、消毒薬は濃ければ濃いほど効果が高いと思い込んでいる人も多いですが、濃いと粘膜を傷つけてしまいます。原液のまま使うことは絶対に避けて、15~30倍に薄めて使うことを、きちんと説明するべきかと思います。特にどれくらい薄めたらいいのかわからず、いつもいい加減に薄めているという方には、軽量カップなどを使って薄めることを指導すると良いかと思います。処方せんで出される際にも、イソジンが有名な薬なので処方医からは詳しく説明がない場合も多いため、薬剤師側できちんと説明すべきでしょう。

イソジンは実はただのうがい以外にも使用できる?!

うがい薬のイメージが強いと思いますが、その他の用途もあることをご存知でしょうか。ここではOTC医薬品の「イソジン®うがい薬」と「イソジン®きず薬」、そして医療用医薬品の「イソジン®ガーグル液7%」についてご紹介します。

製品名 区分 効能・効果
イソジン®うがい薬1) OTC医薬品 口腔内およびのどの殺菌・消毒・洗浄、口臭の除去
イソジン®きず薬1) OTC医薬品 きり傷、さし傷、すりむき傷、靴ずれ、やけどなどの幹部の殺菌・消毒
とびひ、おできなどの感染皮膚面の殺菌・消毒
イソジン®ガーグル液7%2) 医療用医薬品 咽頭炎、扁桃炎、口内炎、抜歯創を含む口腔創傷の感染予防、口腔内の消毒

1)ムンディファーマ イソジン®シリーズ商品一覧 より作表
http://www.isodine.jp/shop/

2)シオノギ製薬 製品情報一覧 より作表
https://www.shionogi.co.jp/med/products/index.html

まずは患者さんに最も馴染みがあると思われる、うがい薬からみていきましょう。コップ1杯の水に対してイソジンを数滴垂らした、かなり薄めのイソジン液で口全体をかるくゆすぐと、口臭対策になるといわれています。添付文書にも「口臭の除去」と記載があり、効果があります。ただし、これは一時的な改善にすぎません。

加えて、うがい薬を歯周病予防や口内炎の痛み対策に使う方もいるようです。しかしOTC医薬品にはそのような効能・効果は明記されていません。歯周病が心配される場合は歯科受診を促しましょう。医療用医薬品の「イソジン®ガーグル液7%」の効能・効果にはたしかに口内炎の記載がありますが、口内炎には様々な原因があます。口内炎だと思っていたらがんだったいった事例までありますので、口内炎が長引くようならイソジンでごまかすことなく、きちんと受診を勧めるべきでしょう。

イソジン®きず薬の効能・効果には「とびひ、おできなどの感染皮膚面の殺菌・消毒」とあります。治療薬との併用が基本にはなりますが、とびひにも効果があります。

きず薬とうがい薬との違いは実は、ポピドンヨードの濃度の違いです。うがい薬の濃度をあげたものがきず薬として市販されています。濃度を調整すればどちらにも使えると思っている患者さんもいるかもしれませんが、それぞれ適正な濃度があり、どちらかをどちらかで代用することは避けなくてはなりません。薬剤師としては、これらのような使い方をしている人がいることをきちんと把握し、これらの使い方を勧めるのではなく、各々の症状の元になっている疾患をごまかさずに受診を勧めていくべきです。そのためにもイソジンの使われ方と、正しい効能・効果、用法・用量をこの機会に知っておいてください。