間もなく季節は夏真っ盛りです。花火を見に行ったり、海水浴に行ったりと、外に出かける機会が多くなってくると思います。そんな中で蚊を含めた、色々な虫に刺されてしまうことも増えてきます。かゆさを我慢できず、かきむしってしまい、結果として治りが遅くなってしまうことも多いのではないでしょうか。今回は虫刺されや虫よけに効果がある薬について復習してみましょう。

各症状に有効な成分とは?

虫刺されに関する薬には、大きく分けて、①かゆみ自体を抑える成分、②炎症を鎮める成分、③化膿を抑える成分の3つがあります。①には、ジフェンヒドラミンなどの抗ヒスタミン成分や、リドカインなどの局所麻酔成分があります。これにより、かゆみをおさえ、かきむしる行為を抑制できます。②としては、プレドニゾロンなどのステロイド成分や、グリチルリチン酸などの非ステロイド成分があります。腫れがひどくて治りが悪い場合にはステロイド成分のほうが向いていますが、子どもや顔まわりの虫刺されといった、皮膚が薄い部分に利用する場合には、安全性の高い非ステロイド成分のほうが向いています。③としては抗生物質のフラジオマイシンなどがあります。これは、かきむしって皮膚が傷ついてしまった場合に使うことで、傷口の細菌感染を防ぎ、化膿やとびひなどを防止できます。

虫刺され用のOTCの具体例をみてみよう!!

知名度が高いムヒ®Sは、ステロイド成分を含まず、抗ヒスタミン成分のみを含み、かゆみ症状だけを抑えることに向いています。さらに、l-メントールやdl-カンフルが配合されており、清涼感を伴うので、よりかゆみが抑えられたように感じられます。同じく知名度が比較的高い新ウナコーワクールは、抗ヒスタミン成分に加えてリドカインを含んでいるので、より強くかゆみを抑制します。ちなみにこちらにも清涼成分がプラスされています。
ムヒアルファ®EXも知名度が比較的高いですが、これはオールマイティなものになっています。その理由としては、ステロイドに加え、抗ヒスタミン薬はもちろん、殺菌成分と清涼成分までも配合されているからです。同様に、オイラックス®PZリペア軟膏も、ステロイドと、かゆみ止め成分のクロタミン、殺菌成分の3つを含んでいます。ムヒアルファ®EXと比較し、異なる点としては、ビタミンEとアラントインという組織修復作用成分が配合されていることです。ビタミンEは皮膚の血行を良くし、治りを早めてくれる効果が期待できます。

虫よけ用の薬も多種多彩?!

虫よけ用の薬には、ティッシュタイプ、液体タイプ、ポンプタイプ、スプレータイプなど、多くの剤形が存在します。効果の違いに差はなく、好みのタイプを選んで問題ありません。また、虫よけの薬で注意するべきことは、虫よけ成分の配合量が12%では医薬品ですが、10%以下のものは医薬部外品に分類されている点です。このように、剤状と、虫よけ成分の配合量によって様々なタイプの虫よけ薬が存在します。
スプレータイプは最も一般的で、簡単にまんべんなく塗れることが特徴です。ムヒの虫よけムシペール®PSなどが挙げられます。ムヒの虫よけムシペール®PSは虫よけ成分の配合量が12%なので、医薬品です。他にもサラテクト無香料や、キンカン®虫よけスプレーなどもありますが、それぞれ虫よけ成分が10%、7%で、医薬部外品になります。スプレータイプ以外の剤形のものだと、ほとんどが医薬部外品です。医薬部外品虫よけの薬を医薬品と間違えている方も少なくありません。購入時にはきちんと薬剤師より虫よけ成分の含有量によって医薬品と医薬部外品の2つに分けられること、そして、そのほとんどの虫よけの薬が医薬部外品であることを説明しましょう。一般的には知られていないことが多いので、薬剤師の腕の見せ所でしょう。

虫刺されの薬や虫よけの薬は、ほかにもたくさんあります。どういった症状の時に、どれをおすすめすれよいのか、自分でも是非勉強してみてください。

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