地震や火山噴火などが多いといわれている日本ですが、最近も各地で比較的大きめの地震が頻発しています。また、世界では紛争も起こっています。
防災拠点の設置が進んでいる中、今回は薬局が防災拠点になる可能性について考えていきましょう。

話題になった東京都の対策とは?

年始に北陸地方を震源とする大地震が起きました。未だに被害が収束していませんが、そのような中で首都機能を持つ東京都がある対策をして話題になりました。それは東京都港区麻布十番に、ミサイルの飛来などに備えて地下シェルターを造るというものです。以前より国から各都道府県に向けて「早急に避難できる、かつ、救援活動が可能な避難施設の指定を作るように」との意見が出ていましたが、それが本格的に実現したといえます。これにより、今後ほかの地域においても防災拠点が出てくるものと期待されています。

薬局が防災拠点として優れている点とは?

防災拠点として考えた際に「衣食住」はもちろん大切ですが、「薬」や「衛生用品」も重要となります。避難した際にはさまざまな健康問題が発生するのと同時に、衛生管理が必要となるからです。
例えば、今回のように地下シェルターに避難したとしても、外部から薬などを定期的に供給できるようにしなければ避難施設としては稼働できません。薬局であれば地域に根差しており、その地域のことを把握できている・同地域に複数ある・日常的に薬や衛生用品が常備されているなどの点から、防災拠点として中核を担える可能性が高く、今後の薬局はこのような機能を果たすべきかと考えます。
拡大を続けた薬局業界は今まさに転換期を迎えており、薬局独自の地域へ貢献できる取り組みを行っているところもあります。例えば、生活に困窮する家庭へのこども食堂を近隣の飲食店と提携し行っている薬局もあります。そのような薬局であれば、食糧の確保もしやすく、ますます防災拠点として向いていると考えられます。(こども食堂を行っている薬局について興味のある方は調べてみてください。)
また、最近ではデジタル化推進の中で、オンライン診療や処方箋の電子送付なども進んできています。このような流れも防災拠点としては向いています。災害に遭っていない地域の処方箋を受け取りやすくなったことで、これまで以上に全国の医療機関と連携しやすいからです。薬局の防災拠点化は夢物語ではないのではないでしょうか。

防災拠点の薬局で必要な薬剤師の知識とは?

日本では地震などの自然災害は多いですが、ミサイルの着弾などにはあまり慣れていないのが事実です。今後はこのようなことも想定して防災拠点を考える必要が出てきます。ミサイルなどの着弾時や着弾直後の被害を考慮するのはもちろん、着弾後にも注意する必要があります。着弾後の地面や空気中には人体に有害な化学物質や放射性物質が多量に含まれていて、その状態がしばらく続くことが多いからです。
薬局が防災拠点として適していると考えるのはこの点にあります。薬剤師は薬の専門家であるのはもちろんですが、実は化学物質や放射性物質の専門家という側面もあります。化学物質や放射性物質が漂っている中で薬を運んだりする状況を踏まえるとこのようなものからの暴露から身を守る行動も必要になってきます。
今後を見据えると、薬剤師一人一人が化学物質や放射性物質に関する知識を磨いておく必要があります。このような知識を備えた薬剤師であれば、防災拠点でリーダーとして活躍できる可能性があります。加えて、一般の方に対して正しい行動を取るように促す役割も果たせます。
このような薬剤師になるためには、まずは「放射線取扱主任者」、「危険物取扱者」などの資格取得を目指すのも良いでしょう。防災時にこそ、専門家としての腕を存分に発揮できるように日ごろから、災害時に必要な知識の研鑽もしておくと良いでしょう。
明日には今回紹介したような事例が起こるかもしれません。ぜひ意識しておいてください。

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