きたるべく薬剤師過剰時代に向けて、薬剤師免許以外の資格も取得し「ダブルライセンス」で乗りきるという選択肢もあります。
今回は、放射線傷害防止法に規定されている原子力規制委員会管轄の国家資格「放射線取扱主任者(以下主任者)」をご紹介。
福島原発事故以降、知名度・重要度が上がっている資格でもあります。

どんな資格?

医療現場でも昔から放射線が使われてきましたが、手術や薬に比べてあまり目立ちませんでした。原発事故以降、国民の放射線を適切に管理することへの興味も一気に高まり、それに伴い、医療現場での放射線の管理に対しても厳しい目が向けられるようになっています。

名実ともに放射線のスペシャリストと見なされる

薬剤師はもちろん放射線の知識を大学で習っていますし、放射性医薬品をまかされる任される場面もあるので、当然ある程度の放射線のプロだとは思います。
しかしながら、国家試験でもそんなに出題されないので忘れてしまった方も多いと思います。
この資格を付随することで、不安を抱きがちな患者さんに、放射線の検査・放射性医薬品について、また放射線の影響について的確にアドバイスできるようになります。

何に役立つ?

放射線を扱う事業所において、実際に扱う人全員が持っている必要はないですが、必ず主任者免許を持つ人の中から1名以上を事業所専任の放射線取扱主任者として選任し、管理を行わせなければなりません。

放射線を扱う事業所では必ず必要

放射線を扱う事業所は具体的に、病院、製薬企業、食品企業、研究所、大学、電力会社、化学繊維工業、保健所、検査機関、自衛隊、消防署など多岐にわたります。
しかも放射線を扱う施設が点在している場合には、その施設ごとに選任が必要になります。

放射線の管理は大変な業務なので、普通は数名選任し業務を分担させていますので、いかに需要が高い資格かがわかります。
原発事故以降、特に放射線の管理が厳しくなったので、まだまだ人材の奪い合いが活発なので、医療はもちろん、あらゆる職種で有利な資格です。

資格概要

3種類の免許があります

[資格の種類]
放射線取扱主任者として選任できる免許として、第一種、第二種、第三種がある。
放射性物質が拡散しないように密封容器に入っている状態を密封放射性同位元素(以下、密封)、容器から出して拡散しやすくなった状態を非密封放射性同意元素(以下、非密封)という。
そのうち、非密封を扱う事業所と放射線発生装置事業所で選任できるのは第一種のみ。
第一種は非密封・密封両方とも扱う事業所で選任可能。第二種は密封を扱う事業所で、第三種は密封を扱う事業所のうちさらに限定した場所でのみ選任可能。
特に医療系の事業所は、ほぼ例外なく非密封を扱うため、薬剤師が取るべきは第一種です。
[取得方法]
放射線取扱主任者国家試験に合格後、原子力規制委員会が指定する機関で講習を受講。
講習最終日の修了試験に合格後、免許取得。
国家試験は誰でも受験可能。
講習受講の期限はなし。
国家試験合格後にいつ講習を受けてもかまいません。
[難易度]
国家試験合格率は例年、20~30%