水虫はおじさんの病気と思われがちですが、意外と若い方や女性など、様々な方が悩んでいる病気の1つです。少し恥ずかしくて隠していたけれど、実はかゆみが酷くなってきてつらい…という方も多いです。そんな水虫も、今やOTCでかなり対処できる時代となってきました。しかしながら、いざ水虫に関する相談を受けるとなると、知識少し不安がある薬剤師もいるのではないでしょうか。今回は水虫について復習し、そのOTCについて見てみましょう。
そもそも水虫は皮膚真菌症の1種!!
そもそも「水虫」は、皮膚真菌症の1種です。皮膚真菌症とは、真菌(いわゆるカビ)が皮膚に感染して起こる病気です。真菌の種類として、皮膚糸状菌(白癬菌)、カンジダ、癜風金、黒色真菌などがあります。その中でも白癬菌によるものが1番多いです。その発症部位は幅広く、頭部、顔面、体部、股部、陰嚢、手、足、爪などと多岐に渡ります。その中で、特に特徴的なものを個別化して、体部白癬をゼニたむし、股部白癬をいんきんたむし、足白癬を水虫、爪白癬を爪水虫などと呼んでいます。このように、「水虫」を含めた白癬菌による病気は、全身に発生する可能性があるということがわかります。足に発生する白癬菌による病気が特に深刻で、かつ、医師でなくても、かゆみや見た目などで症状が分かりやすいので、「水虫」が有名になったのでしょう。
水虫は爪まで進行すると、外用剤では到達しません。そこで一般的には内服薬(ラミシール錠など)での対処となります。ですので、外用薬のみが存在する水虫用のOTC薬で対処できるものは、まだ爪まで至っていない、足の皮膚表面の水虫という場合が多いです。
それぞれの外用薬をタイプ別に見てみよう!!
OTCの水虫薬には、クリーム、軟膏、液剤、スプレーの4タイプがあります。それぞれに特徴があり、症状が同じでも患部の症状によって使い分けることがよいと思います。一般の方にはわかりにくいので、どのタイプをお薦めするかというのは、薬剤師の腕の見せ所です。クリームはベトベトした感じがなく、患部にとどまる作用に優れています。ですので、いわゆる水虫である足白癬や爪白癬だけにとどまらず、体部や股部にまで広く使えます。軟膏はベトつき感が強いので、ジクジクした幹部には使えないものの、カサカサした乾燥がひどい水虫に適しています。液剤は手を汚さないで塗布できる容器のものが多いため、使いやすいことが特徴です。また、利点として、使用感がさっぱりしていることがあげられます。一方で、皮膚への刺激がクリームや軟膏よりも強く、かつアルコールが配合されていることが多いので、肌が敏感である人では痛みが出たり、皮膚がただれたりすることもあります。スプレーも手を汚さずに使用でき、冷たさがあるのでかゆみや不快感を鎮める作用が強いのですが、薬効の持続性が、4タイプの中でも短いことが多いです。ですので、軽めの水虫のみに使用することをお薦めするのがよいでしょう。
水虫用OTC医薬品の成分別の特徴とは?!
世界中で多く使用されている成分で、即効的な強い抗真菌作用を持つ塩酸テルビナフィンを含むものとしては、ラミシール®シリーズやダマリングランデシリーズがあげられます。
また、この塩酸テルビナフィンとほぼ同じ効果を持つものに、塩酸ブテナフィンがあります。これを含む代表的なものに、ブテナロック®がありますが、これはカンジタにはあまり効果を発揮しません。もし、そのかゆみなどの原因が白癬菌ではなくカンジタであった場合には、症状がひどくなることがあるので要注意です。
塩酸テルビナフィンと塩酸ブテナフィンの2つの成分とは作用機序が異なる成分として、塩酸アモロルフィンがあります。これを含むものの代表として、ダマリンエースシリーズがあり、これは白癬菌とカンジタの両方に効果を発揮します。
特に白癬菌に対して効果を示し、カンジタにも適応のある成分として、ラコナゾールがあります。この成分は、2006年という比較的最近になってスイッチOTC成分に指定されています。ラコナゾールを含むものとしては、ピロエース®Zがあります。ピロエース®Zは、2011年になって1類医薬品から指定2類医薬品にリスク区分が変更になり、より購入しやすくなりました。
いくつかOTCをあげましたが、どれも1日1回の使用で効果を発揮します。患者さんにお薦めする際の参考にしてください。
先述しましたが、明らかに爪までに進行しているものは内服薬が必要となり、患部が化膿しているものは抗生剤が必要となります。ですので、速やかに皮膚科などへの受診を勧めることが必要です。ただ症状を聞くだけでなく、薬局でも実際の目視による確認が必要となってくる事例もあります。これから患者さんに相談されても答えられるように、自分でもぜひ復習してみてください。