事例で学ぶ 処方チェック コミュニケーション
CASE.5
ディナゲスト錠のジェネリックへの変更はOK?
- 生殖器系
- 関連キーワード:
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- ジェネリック医薬品
- 効能・効果
難易度:★☆☆
- 子宮腺筋症に伴う疼痛の改善
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- ディナゲスト錠1mg ほか
- ジエノゲスト
問題
下記の事例において、何をチェックし、具体的には何が問題であり、
疑義照会する際はどのように伝えればよいでしょうか?
<処方>大学病院の婦人科
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- ディナゲスト錠1mg
- 2錠 1日 2回 朝夕食後 14日分
(月経周期2~5日目から服用開始)
チェックすべきことは? 何が問題?
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解答
チェックポイント
先発品とそのジェネリック医薬品の効能・効果を比較してチェックする。
問題点
先発品のディナゲスト錠では、2016年12月に新たに「子宮腺筋症に伴う疼痛の改善」への適応が承認された。一方、ジェネリック医薬品であるジエノゲスト錠「JG」には、現時点で「子宮腺筋症に伴う疼痛の改善」の適応はない。
疑義照会
「ディナゲスト錠が処方された患者さんの適応についてご確認をお願いいたします。今回、ディナゲスト錠が処方され、ジェネリック医薬品の変更を希望されておりますが、現時点でジェネリック医薬品の方には「子宮腺筋症に伴う疼痛の改善」の適応がございません。この患者様の今回の症状は「子宮内膜症」でしょうか?それとも、「子宮腺筋症に伴う疼痛の改善」でしょうか?」
医師より返答があり、患者は「子宮内膜症」はなく、「子宮腺筋症」と診断しており、その疼痛改善のための処方であるため、ディナゲスト錠のままで出して欲しいとのことであった。
解答に必要な医薬品情報
ディノゲスト錠の保険適応は「子宮内膜症」と「子宮腺筋症に伴う疼痛の改善」ですが、ジエノゲスト錠「JG」を始めとするジェネリック医薬品の保険適応は、現時点では子宮内膜症のみです。(2018.03.30 確認)
先発品とジェネリック医薬品の適応の違い
先発品とジェネリック医薬品の「効能効果、用法用量等に違いのある後発医薬品リスト」が、日本ジェネリック製薬協会のホームページ(医療関係者向けサイトの「効能効果について」)にて確認できる。ただし、これは日本ジェネリック製薬協会で独自に調査したもので、後発医薬品の参考情報として提供されているものである。そのため、すべての効能効果等の違いを網羅したものではないので、ジェネリック医薬品変更時には、各医薬品の添付文書等の確認が必要である。
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ジェネリック医薬品の適応について
薬局でジェネリック医薬品へ変更したときに、先発品は適応があるが、ジェネリック医薬品にはその適応が無かった場合、適応についての特許が存在するため、処方元の医療機関のレセプトが返戻になったり、減点されたりすることが起こりえる。ただし、処方医には『保険診療における医薬品の取扱いについて』(昭和55年9月3日保発第51号)(社会保険診療報酬支払基金理事長あて厚生省保険局長通知)にあるように、処方の裁量権が認められているため、返戻が起こった場合の反論も可能である。[文献1]
また、2012年4月からの支払基金の審査方法の変更に伴い、薬局でジェネリック医薬品に変更して適応外になった場合でも、以前は減点等になっていたが、厚生労働省より、保険診療上、不当にならないことが明確になり、これに関わる減点はされない見込みとなった [文献2]。しかし、まだ通知等の明示はされていない。そのため、今回のケースのように、薬局でのジェネリック医薬品の変更により適応外になるならば、ジェネリック医薬品の減点はされない見込みでも、医師の判断を確認した上で、変更をする必要がある。
文献)
1.日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会「ジェネリック医薬品」情報検索システム 「ジェネリック医薬品」に関するQ&A No.12
2.栗林令子,月刊保険診療.67(10):62-63, 2012.
- 重複投与
疾患名:鼻かぜ
医薬品一般名:d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩/dl-メチルエフェドリン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩