事例で学ぶ 処方チェック コミュニケーション

CASE.25

パロキセチンの中止指示、処方チェックのポイントは?

  • 神経疾患
関連キーワード:
  • 用法・用量

難易度:★★

疾患名:うつ病
  • 医薬品販売名:パキシル
  • 医薬品一般名:パロキセチン

問題

下記の事例において、何をチェックし、具体的には何が問題であり、
疑義照会する際はどのように伝えればよいでしょうか?

患者は70歳の女性。2週間前まで数ヵ月にわたって、心療内科医院から処方された<処方1>の薬剤を服用していた。
しかし、今回、<処方2>のようにパキシル錠の中止が指示された。

<処方1>心療内科医院、処方オーダリング 前回処方

  • パキシル錠20mg
    1回1錠(1日1錠) 1日1回 夕食後 14日分
  • セルシン錠2mg
    1回1錠(1日3錠) 1日3回 毎食後 14日分
  • プルゼニド錠12mg
    1回2錠(1日2錠) 1日1回 就寝前 14日分

<処方2>心療内科医院、処方オーダリング 5月30日

  • セルシン錠2mg
    1回1錠(1日3錠) 1日3回 毎食後14日分
  • プルゼニド錠12mg
    1回2錠(1日2錠) 1日1回 就寝前14日分

チェックすべきことは? 何が問題?
解答・解説を見る

解答

チェックポイント

・パキシル錠を中止したことでどのような問題があるかをチェックする。

問題点

パキシルが突然中止となっていることから離脱症状発現の可能性がある。

疑義照会

「患者さんはこれまでパキシルを服用しておりましたが、パキシルは突然中止しますと、めまい、知覚障害、睡眠障害、不安、嘔吐、発汗などの離脱症状が現れることがあります。高齢者ですし、漸減をお願いいたします。」
医師は漸減しなければならないことは認識していたがうっかり忘れており、以下のように処方が変更された。

<処方3>処方オーダリング 5月30日

  • パキシル錠10mg
    1回1錠(1日1錠) 1日1回 夕食後 14日分
  • セルシン錠2mg
    1回1錠(1日3錠) 1日3回 毎食後 14日分
  • プルゼニド錠12mg
    1回2錠(1日2錠) 1日1回 就寝前 14日分

<処方4>処方オーダリング 6月13日

  • パキシル錠5mg
    1回1錠(1日1錠) 1日1回 夕食後14日分
  • セルシン錠2mg
    1回1錠(1日3錠) 1日3回 毎食後14日分
  • プルゼニド錠12mg
    1回2錠(1日2錠) 1日1回 就寝前14日分

<処方5>処方オーダリング 6月27日

  • セルシン錠2mg
    1回1錠(1日3錠) 1日3回 毎食後14日分
  • プルゼニド錠12mg
    1回2錠(1日2錠) 1日1回 就寝前14日分

まとめ

・抗うつ薬など中枢神経系用薬は、漸減後に中止する必要がある。

解答に必要な医薬品情報

パロキセチンを投与中止(特に突然の中止)又は減量することで、めまい、知覚障害(錯感覚、電気ショック様感覚、耳鳴等)、睡眠障害(悪夢を含む)、不安、焦燥、興奮、意識障害、嘔気、振戦、錯乱、発汗、頭痛、下痢等があらわれることがある。したがって、突然の投与中止を避け、投与を中止する際は、患者の状態を見ながら数週間又は数ヵ月かけて徐々に減量する必要がある。
詳細は最新の添付文書を参照されたい。

もっと知る!

離脱症状で最も高頻度に報告された症状はめまい(頭部や眼球を動かすと悪化することが多く、重症例も報告されている)である。
次に多いのは知覚異常(上半身か下肢近位部に現れ、灼熱感、刺痛感、しびれ感、電撃感というように表現される)である。
その他、消化器症状(とくに嘔気)、疲労感、頭痛、発汗、筋肉痛などの感冒様症状、不安、筋緊張、神経過敏などの神経症状、不眠や鮮明な夢などの睡眠異常、運動異常(アカシジア)がみられる。
一方、精神症状としては、抑うつ気分、突然の泣き、易興奮性、情緒不安定など(これらはうつ病と同じ症状である)がよくみられる。
SSRIによる離脱症状の大半は、投与中止あるいは減量の後1〜3日以内に発現し、投与中止後1週間以上経過してから発現することは滅多にないと言われている。また、症状は、通常軽度かつ一過性のものである。
しかし、まれに重症化することもあり、実際にこのような中断症状が起こってしまった場合には、薬剤を再投与することになる。
離脱症状発現メカニズムは解明されていないが、広範なセロトニン受容体のダウンレギュレーションが生じている状況下において、脳内のセロトニンが相対的に欠乏状態になることに由来すると考えられている。
離脱症状回避のための減量方法として、投与量の半量を2週間程度処方し、さらに半量を2週間程度処方して、その後、完全に退薬する方法などが考えられるが、患者さんの様子をみながら処方設計することが必須である。

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