事例で学ぶ 処方チェック コミュニケーション

CASE.24

パーキンソン病治療薬との相互作用、処方チェックのポイントは?

  • 神経疾患
関連キーワード:
  • 禁忌

難易度:★★

疾患名:パーキンソン病
  • 医薬品販売名:エフピー
  • 医薬品一般名:セレギニン

問題

下記の事例において、何をチェックし、具体的には何が問題であり、
疑義照会する際はどのように伝えればよいでしょうか?

患者は66歳の男性。パーキンソン病治療中で、処方1を服用中である。
今回、同病院の精神科から、うつ症状のため、処方2が追加処方された。

<処方1>病院の神経内科、処方オーダリング1月10日

  • マドパー配合錠
    1回1錠(1日3錠) 1日3回 毎食後 28日分
  • シンメトレル錠50mg
    1回1錠(1日3錠) 1日3回 毎食後 28日分
  • ペルマックス錠250µg
    1回1錠(1日4錠) 1日4回 毎食後と就寝前 28日分
  • マグミット錠330mg
    1回1錠(1日2錠) 1日2回 朝夕食後 28日分
  • プルゼニド錠12mg
    1回2錠(1日2錠) 1日1回 就寝前 28日分
  • エフピーOD錠2.5mg
    1回1錠(1日1錠) 1日1回 朝食後 28日分

<処方2>病院の精神科、処方オーダリング1月17日

  • 1月17日〜23日まで
    リフレックス錠15mg
    1回1錠(1日1錠) 1日1回 就寝前7日分
  • 1月24日より
    リフレックス錠15mg
    1回2錠(1日12錠) 1日1回 就寝前7日分

チェックすべきことは? 何が問題?
解答・解説を見る

解答

チェックポイント

・エフピー<セレギリン塩酸塩>とほかの薬剤の併用をチェックする。

問題点

セレギリン塩酸塩とノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ剤(NaSSA)は併用禁忌である。

疑義照会

精神科の医師に対して「この患者さんは神経内科にてパーキンソン病治療中で、エフピー錠を服用中です。リフレックス錠は、エフピー錠の併用中及び中止後2週間以内の併用は禁忌であり、互いに作用が増強し副作用が出る可能性があります。他のSSRI、SNRIでも同様に併用禁忌となっています。処方のご変更をご検討ください。」

変更後の処方
<処方3>処方オーダリング 1月10日

  • レスリン錠50mg
    1回1錠(1日1錠) 1日1回 夕食後 14日分
  • レスリン錠25mg
    1回1錠(1日1錠) 1日1回 夕食後 14日分

まとめ

・MAO 阻害薬の処方を手にしたら、併用薬を必ずチェックする。

解答に必要な医薬品情報

リフレックス錠は、MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者には投与禁忌である。
詳細は最新の添付文書を参照されたい。

もっと知る!

SSRIは脳内セロトニン濃度が高まり、SNRIは脳内モノアミン総量の増加が考えられている。とくに、セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、錯乱、幻覚、反射亢進、ミオクローヌス、発汗、戦慄、頻脈、振戦など)には注意が必要である。
海外でセレギリンとSSRIであるフルオキセチン(日本未発売)の併用で脳内のセロトニンの濃度が高まり、セロトニン症候群と思われる副作用(激越、錯乱、発汗、幻覚、反射亢進、ミオクローヌス、戦慄、頻脈、振戦、発熱、協調異常など)が出たため、類似薬であるSSRI(パロキセチン塩酸塩、フルボキサミンマレイン酸塩、エスシタロプラムシュウ酸塩、セルトラリン塩酸塩)、SNRI(ベンラファキシン塩酸塩、ミルナシプラン塩酸塩、デュロキセチン塩酸塩)、NaSSA(ミルタザピン)、セロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体調節剤(ボルチオキセチン臭化水素酸塩)の併用が禁忌となっている。
同様の理由で、三環系・四環系抗うつ剤もセレギリンと併用禁忌となっているため、注意が必要である。
モノアミンオキシダーゼ(MAO)にはAとBの2種あり、主にAはノルアドレナリン、セロトニンの分解、Bはドパミン、チラミンの分解に関与する。セレギリンはBの選択的阻害薬であるが、服用量が1日10mgを超えるとその選択性が失われていくためセロトニンの分解にも影響を及ぼし、セロトニン症候群の副作用が出る可能性がある。
現在、パーキンソン病治療薬のMAO阻害剤としては、セレギニンの他、MAO-B選択的阻害剤であるラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩が上市されている。
抑うつ症状は運動症状と同等あるいはそれ以上にパーキンソン病患者の生活の質を低下させる要因となっている[文献]。したがって、抗うつ薬が併用されることが多いので、相互作用チェックは必須である。

文献
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