事例で学ぶ 処方チェック コミュニケーション

CASE.21

製剤量?成分量?処方チェックのポイントは?

  • 神経系
関連キーワード:
  • 成分量
  • 製剤量

難易度:☆☆

疾患名:三叉神経痛
  • 医薬品販売名:テグレトール細粒
  • 医薬品一般名:カルバマゼピン

問題

下記の事例において、何をチェックし、具体的には何が問題であり、
疑義照会する際はどのように伝えればよいでしょうか?

患者は56歳の女性。三叉神経痛のため病院にかかっていた。最近、引っ越してきたということで本薬局には初めての来局であった。
治療を受けていた病院は、家の近くの内科クリニックに変わったが、処方された薬は以前と同じであるということであった。

<処方1>内科クリニック、手書き処方箋

  • テグレトール細粒50%
    1回0.2g(1日0.4g) 1日2回 朝夕食後 14日分

チェックすべきことは? 何が問題?
解答・解説を見る

解答

チェックポイント

・テグレトール細粒の1日量が、製剤量、成分量のどちらが処方意図かを確認する。

問題点

テグレトール細粒の効能効果としては、
①精神運動発作、てんかん性格及びてんかんに伴う精神障害、てんかんの痙攣発作:強直間代発作(全般痙攣発作、大発作)
②躁病、躁うつ病の躁状態、統合失調症の興奮状態
③三叉神経痛があり、それぞれの疾患により用法用量が異なる。
処方に記載された1日量(0.4g)を成分量(成分としては400mg)と解釈するか、製剤量(成分としては200mg)と解釈するかの違いにより、カルバマゼピンとしての量が2.0倍異なるが、両方とも用法・用量範囲内である。

疑義照会

「三叉神経痛の患者さんに処方されたテグレトール細粒の記載ですが、製剤量でお書きになったのでしょうか?成分量でお書きになったのでしょうか?どちらでも、添付文書上、妥当な量ですので、どちらかを確認させてください。」

医師に、製剤量と成分量の違いを説明したところ、処方意図は、製剤量ではなく、成分量であった。
本疑義照会時に、医師と相談し、処方毎に、製剤量と成分量と明記するのも効率が悪いので、当該医師の処方に関しては、今後は、製剤量で記載することを取り決めた。
そこで、処方は以下に変更された。

<処方1>内科クリニック(変更後の処方)

  • テグレトール細粒50%
    1回0.4g(1日0.8g) 1日2回 朝夕食後 14日分

    ※製剤量で記載

まとめ

・医師は、製剤量、成分量に無頓着な場合が多い。必ず、疑義照会を!

解答に必要な医薬品情報

テグレトール細粒の添付文書

【用法及び用量】
1.精神運動発作、てんかん性格及びてんかんに伴う精神障害、てんかんの痙攣発作:強直間代発作(全般痙攣発作、大発作)の場合
カルバマゼピンとして通常、成人には最初1日量200~400mgを1~2回に分割経口投与し、至適効果が得られるまで(通常1日600mg)徐々に増量する。症状により1日1,200mgまで増量することができる。小児に対しては、年齢、症状に応じて、通常1日100~600mgを分割経口投与する。

2.躁病、躁うつ病の躁状態、統合失調症の興奮状態の場合
カルバマゼピンとして通常、成人には最初1日量200~400mgを1~2回に分割経口投与し、至適効果が得られるまで(通常1日600mg)徐々に増量する。症状により1日1,200mgまで増量することができる。

3.三叉神経痛の場合
カルバマゼピンとして通常、成人には最初1日量200~400mgからはじめ、通常1日600mgまでを分割経口投与するが、症状により1日800mgまで増量することができる。
小児に対しては、年齢、症状に応じて適宜減量する。

もっと知る!

製剤の総量と有効成分の量との誤認による事例が4件報告されていることから(集計期間:2004年10月1日~2007年3月31日)、2007年に、日本医療機能評価機構より医療事故情報収集等事業医療安全情報(No.92007年8月)が発出された。
誤認の事例を以下に紹介する。
詳細は、医療事故情報収集等事業医療安全情報(No.92007年8月)を参照のこと。

<事例1>
他院からの紹介患者。他院からの情報提供用紙には、内服薬として『セレニカR1.25g分 2朝・夕』(有効成分であるバルプロ酸ナトリウムとして500mgに相当)と記載されていた。
医師は、同一内容の処方を意図してオーダー画面に『セレニカR顆粒40% 1250mg 朝・夕食後』と入力し院外処方箋を発行した。一方、処方箋を受け取った院外調剤薬局では1250mgを製剤の総量ではなく、有効成分(バルプロ酸ナトリウム)の量と解釈し、製剤の総量としてセレニカR顆粒40% 3125mg(成分量として1250mg)を調剤した。家族から患者に嘔吐などが出現しているという連絡があり過量投与がわかった。

セレニカR顆粒40%の用法用量
<各種てんかんおよびてんかんに伴う性格行動障害の治療、躁病および躁うつ病の躁状態の治療>
通常、バルプロ酸ナトリウムとして400~1200mgを1日1回経口投与する。ただし、年齢、症状に応じ適宜増減する。

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  • 剤形
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