事例で学ぶ 処方チェック コミュニケーション

CASE.19

リウマトレックスカプセルの休薬期間が記載されていない?

  • 筋骨格系
関連キーワード:
  • 休薬

難易度:☆☆

疾患名:関節リウマチ
  • 医薬品販売名:リウマトレックスカプセル2mg
  • 医薬品一般名:メトトレキサート

問題

下記の事例において、何をチェックし、具体的には何が問題であり、
疑義照会する際はどのように伝えればよいでしょうか?

60歳代女性、これまでA病院内科より処方されていた非ステロイド性消炎鎮痛薬を使用していたが、十分な治療効果が得られないということでリウマトレックスカプセルが処方された。

<処方 1> A病院 内科 処方オーダリング

  • リウマトレックスカプセル2mg
    2Cp 1日2回 朝夕食後 7日分
  • プレドニン錠5mg
    1錠 1日1回 朝食後 7日分

チェックすべきことは? 何が問題?
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解答

チェックポイント

リウマトレックスカプセル<メトトレキサート>の服用方法 (単回投与か分割投与か、休薬期間が設けられているか)の指示がきちんとなされているかをチェックする。

問題点

リウマトレックスカプセルは1週間単位の投与量が処方され、この量を1回又は2~3回に分割して服用し、残りの日数を休薬期間とする。このサイクルを1週間ごとに繰り返すことになっているが、今回の<処方 1>では連続投与の記載となっており、休薬期間が設けられていないため、医師に確認する必要がある。

疑義照会

「リウマトレックスカプセルは、1週間単位の投与量を6mgとし、この量を1回又は2~3回に分割して服用します。分割して投与する場合には、初日から2日目にかけて12時間間隔で投与します。1回又は2回分割投与の場合は残りの6日間、3回分割投与の場合は残りの5日間を休薬とし、これを1週間ごとに繰り返すことになっています。今回の処方は、1週間連続投与の記載となっており、この服用方法では大変に危険です。間違いがないかご確認ください。」と疑義照会を行い、以下の処方に変更となった。

<処方2>A病院 内科

  • リウマトレックスカプセル2mg
    2Cp 1日2回 日曜9時、21時 1日分
  • リウマトレックスカプセル2mg
    1Cp 1日1回 月曜9時 1日分
  • プレドニン錠5mg
    1錠 1日1回 朝食後 7日分

医師は、リウマトレックスカプセルにおいて休薬期間が設定されていることは認識していたが、プレドニン錠が7日分の処方であったことから、うっかり7日間連続投与とオーダーミスをしてしまった。なお、1日目から2日目にかけて服用、残りの5日間は休薬という処方をするつもりであった、とのことだった。

まとめ

・リウマトレックスのように特定の日に服用する薬剤については、処方チェックや服薬指導の際に十分に注意することが必要である。

解答に必要な医薬品情報

リウマトレックスカプセルの適応症は1)関節リウマチ2)関節症状を伴う若年性特発性関節炎であるが、それぞれの用法用量を挙げる[文献1]。

1)関節リウマチ
通常、1週間単位の投与量をメトトレキサートとして6mgとし、1週間単位の投与量を1回又は2~3回に分割して経口投与する。分割して投与する場合、初日から2日目にかけて12時間間隔で投与する。1回又は2回分割投与の場合は残りの6日間、3回分割投与の場合は残りの5日間は休薬する。これを1週間ごとに繰り返す。1週間単位の投与量として16mgを超えないようにする。

2)関節症状を伴う若年性特発性関節炎
通常、1週間単位の投与量をメトトレキサートとして4~10mg/m2とし、1週間単位の投与量を1回又は2~3回に分割して経口投与する。分割して投与する場合、初日から2日目にかけて12時間間隔で投与する。1回又は2回分割投与の場合は残りの6日間、3回分割投与の場合は残りの5日間は休薬する。これを1週間ごとに繰り返す。

もっと知る!

・日本人における探索的試験(用量反応探索試験)において以下の結果が報告されている(文献1)。
関節リウマチ患者を対象に2mg/週(2mgを1回)投与群、6mg/週(2mgを12時間間隔で3回)投与群および9mg/週(3mgを12時間間隔で3回)投与群の3群間比較による用量検討試験(12週間)を実施した結果、最終全般改善率は2mg群で26.9%、6mg群60.4%および9mg群64.4%であり、6mg群と9mg群は2mg群に比べ、改善率が有意に優れていた。6mg群と9mg群の間に有意さは確認されなかった。また有用度においても、6mg群と9mg群の間に有意差は確認されなかった。概括安全度、副作用の発現率、臨床検査値異常の発現率は各投与量で統計的な有意差が認められなかった。以上、日本人においては有効性と安全性を考慮し、至適用量を6mgとした。

・某国立大学病院は2004年末にリウマトレックスの投薬ミスについて発表した。関節リウマチの治療のために、外来通院中はリウマトレックスを1週間につき6mg服用していた男性患者に対し、緊急入院(消化管出血のため)後、誤って連日投与(5日間で合計22mgを服用)してしまい、数日後に呼吸状態が悪化し、意識不明になったということである。その後も医療安全情報として「抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制」が取り上げられており(文献2)、リウマトレックスは注意すべき薬剤の一つである。

[文献]
1.リウマトレックスカプセル2mg医薬品インタビューフォーム第20版2017年11月改訂版(平成30年9月30日アクセス)
2.公益財団法人日本医療評価機構医療事故防止事業部編医療事故情報収集等事業第41回報告書(2015年1月~3月)(平成30年9月30日アクセス)

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