事例で学ぶ 処方チェック コミュニケーション

CASE.3

用法口授の具体的な使用法は?

  • 免疫・炎症・アレルギー
  • 皮膚疾患
関連キーワード:
  • 用法口授
  • 用法・用量

難易度:☆☆

疾患名:湿疹、鼻炎
  • 医薬品販売名:眼・耳科用リンデロンA軟膏
  • 医薬品一般名:ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム・フラジオマイシン硫酸塩

問題

下記の事例において、何をチェックし、具体的には何が問題であり、
疑義照会する際はどのように伝えればよいでしょうか?

患者は35歳の男性。病院の耳鼻咽喉科にかかっている。患者へのインタビューから外耳の湿疹であり、鼻炎も併発していることが明らかとなった。患者は耳と鼻の両方に塗布するよう医師より言われていると述べた。

<処方>A 院の耳鼻咽喉科、手書き

  • ジルテック錠10mg
    1錠  1日 1回 就寝前  14日分
  • 眼・耳科用リンデロンA軟膏
    1本  用法口授

チェックすべきことは? 何が問題?
解答・解説を見る

解答

チェックポイント

眼・耳科用リンデロンA軟膏の使用方法(用法口授)をチェックする。

問題点

患者は耳と鼻の両方に塗布するよう医師より言われていると述べており、眼・耳科用リンデロンA軟膏は耳鼻咽喉科領域で用いられるが、処方箋の「用法口授」という記載方法では、耳、鼻のどちらへの塗布を意図したものか不明である。したがって、処方医に対して、使用部位、使用回数、使用時期、使用方法などを記載するように依頼すべきである。患者インタビューから得られた疾患名とは別の疾患のために処方されているケースや、患者や薬剤師の思い込みによる不適切な判断を防ぐため、必ず疑義照会を行う必要がある。

疑義照会

「眼・耳科用リンデロンA軟膏は用法口授とのことで、患者さんに伺いましたところ、耳と鼻に塗るようにしてくださいと指示を受けたとのことでしたが、それで間違いないでしょうか?」

患者は鼻炎も患っているものの、医師は眼・耳科用リンデロンA軟膏を外耳の湿疹への使用を目的として処方したということであり、鼻への塗布は必要なかった。患者は鼻と耳の両方に塗布するものと思いこんでいた。

まとめ

「用法口授」ではなく、具体的な使用量、使用回数、使用部位などを確認!

解答に必要な医薬品情報

眼・耳科用リンデロンA軟膏の医薬品添付文書
Pmdaでの添付文書情報はこちら
※必ず、各製品の最新の添付文書をご確認ください。
【効能・効果】
<適応菌種>
 フラジオマイシン感性菌
<適応症>
[眼科]外眼部・前眼部の細菌感染を伴う炎症性疾患
[耳鼻科]外耳の湿疹・皮膚炎、進行性壊疽性鼻炎、耳鼻咽喉科領域における術後処置

【用法・用量】
[眼科用]
 通常、適量を1日1~数回患部に点眼・塗布する。なお、症状により適宜増減する。
[耳鼻科用]
 通常、適量を1日1~数回患部に塗布する。なお、症状により適宜増減する。

もっと知る!

<処方箋には、「用法」が正しく記載されている必要がある>[文献1]
処方医療機関によっては、いまだ用法が未記入だったり、「用法口授」「医師の指示通り」などの記載が見受けられ、また保険薬局でもそのまま調剤している例も見受けられる。処方箋に用法を記載することはもちろん、薬剤師法 第25条の2の観点を踏まえ、患者への情報提供に関して「用法口授」「医師の指示通り」の文言は適切でないと考えられる。

◎薬剤師法
第25条(調剤された薬剤の表示)
 薬剤師は、販売又は授与の目的で調剤した薬剤の容器又は被包に、処方せんに記載された患者の氏名、用法、用量その他厚生労働省令で定める事項を記載しなければならない。
第25条の2(情報の提供)
 薬剤師は、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たっている者に対し、調剤した薬剤の適正な使用のために必要な情報を提供しなければならない。

◎医師法施行規則
第21条(処方せんの記載事項)
 医師は、患者に交付する処方せんに、患者の氏名、年齢、薬名、分量、用法、用量、発行の年月日、使用期間及び病院若しくは診療所の名称及び所在地又は医師の住所を記載し、記名押印又は署名しなければならない。

◎診療報酬請求書等の記載要領等について
診療録等の記載上の注意事項 第5処方せん記載上の注意事項
7「処方」欄について
投薬すべき医薬品名、分量、用法及び用量を記載し、余白がある場合には、斜線等により余白である旨を表示すること。

処方チェック事例一覧
服薬ケア事例一覧はこちら
  • 用法・用量
25. パロキセチンの中止指示、処方チェックのポイントは?

疾患名:うつ病

医薬品一般名:パロキセチン

  • 禁忌
24. パーキンソン病治療薬との相互作用、処方チェックのポイントは?

疾患名:パーキンソン病

医薬品一般名:セレギニン

  • 効能・効果
23. 閉経前乳がんにフェアストンが処方?

疾患名:乳がん

医薬品一般名:トレミフェンクエン酸塩

  • 用量
22. 腎機能低下者において処方チェックのポイントは?

疾患名:てんかん

医薬品一般名:ガバペンチン

  • 成分量
  • 製剤量
21. 製剤量?成分量?処方チェックのポイントは?

疾患名:三叉神経痛

医薬品一般名:カルバマゼピン

  • 休薬期間
20. UFTからTS-1への切り替え方法は?

疾患名:胃癌

医薬品一般名:テガフール・ウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム

  • 休薬
19. リウマトレックスカプセルの休薬期間が記載されていない?

疾患名:関節リウマチ

医薬品一般名:メトトレキサート

  • 軟膏混合
18. ケラチナミンコーワ軟膏とリドメックスコーワ軟膏の混合処方は可能?

疾患名:湿疹

医薬品一般名:尿素、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル

  • 重複投与
17. ポララミン錠服用中の患者にフスコデ配合錠が処方された?

疾患名:鼻かぜ

医薬品一般名:d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩/dl-メチルエフェドリン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩

  • 相互作用
  • 併用注意
16. チラーヂンS錠服用患者に鉄剤が処方された?

疾患名:鉄欠乏性貧血

医薬品一般名:レボチロキシンナトリウム水和物、乾燥硫酸鉄

  • 用法・用量
  • 年齢
15. 2歳児へのホクナリンテープの用量は?

疾患名:急性気管支炎

医薬品一般名:ツロブテロール

  • 用法・用量
  • 適応外使用
  • 予防的投与
14. 泌尿器科からのケフラールの長期処方の処方意図は?

疾患名:尿路感染症

医薬品一般名:セファクロル

  • 相互作用
  • 併用禁忌
  • CYP3A
13. クラリスロマイシンを服用中の患者へベルソムラが処方されていたら?

疾患名:不眠症

医薬品一般名:スボレキサント

  • 用法・用量
  • ドパミン受容体作動薬
  • 副作用
12. ニュープロ パッチの漸増がなく、30日分処方されたら?

疾患名:パーキンソン病

医薬品一般名:ロチゴチン経皮吸収型製剤

  • 用法・用量
11. ヘリコバクター・ピロリの除菌でタケプロンカプセル 15 mg が処方されていたら?

疾患名:ヘリコバクター・ピロリの除菌

医薬品一般名:ランソプラゾール

  • 糖尿病
  • インスリン
  • バイオ後続品
10. ランタス XR 注ソロスターのバイオ後続品への変更はOK?

疾患名:糖尿病

医薬品一般名:インスリングラルギン(遺伝子組換え)

  • 女性
  • 投与量
9. 女性患者にイリボー錠が初回から最高投与量で処方されていたら?

疾患名:下痢型過敏性腸症候群

医薬品一般名:ラモセトロン塩酸塩

  • 前立腺肥大
  • 前立腺肥大に伴う排尿障害
  • 高血圧症
8. フリバスが初回から1 日 1 回 50 mg で処方されていたら?

疾患名:前立腺肥大に伴う排尿障害

医薬品一般名:ナフトピジル

  • 最高投与量
7. グリコラン錠の最大用量以上が処方されていたら?

疾患名:2型糖尿病

医薬品一般名:メトホルミン塩酸塩

  • 用法・用量
  • 適応外使用
  • 抜歯
  • 感染性心内膜炎
6. 歯科医師から高用量のサワシリン処方はなぜ?

疾患名:感染性心内膜炎の予防(適応外使用)

医薬品一般名:アモキシシリン水和物

  • ジェネリック医薬品
  • 効能・効果
5. ディナゲスト錠のジェネリックへの変更はOK?

疾患名:子宮腺筋症に伴う疼痛の改善

医薬品一般名:ジエノゲスト

  • 用法・用量
  • 効能・効果
4. バルトレックスの単純疱疹への用法は?

疾患名:単純疱疹

医薬品一般名:バラシクロビル

  • 用法口授
  • 用法・用量
3. 用法口授の具体的な使用法は?

疾患名:湿疹,鼻炎

医薬品一般名:ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム・フラジオマイシン硫酸塩

  • ニューキノロン系抗菌薬
  • 制酸薬
  • 相互作用
2. ニューキノロン系抗菌薬と制酸薬の同時服用はOK?

疾患名:膀胱炎

医薬品一般名:レボフロキサシン,酸化マグネシウム

  • 剤形
  • 小児
1. 5歳の男児にザイザル錠の処方はOK?

疾患名:皮膚そう痒症

医薬品一般名:レボセチリジン塩酸塩

2025年の転職を目指すなら今から準備がおすすめ

薬剤師のご友人紹介

希望に合った求人を紹介します

リクナビ薬剤師の転職お役立ち情報

プライバシーマーク

リクナビ薬剤師を運営する株式会社リクルートメディカルキャリアは、プライバシーマークを取得しており、お客さまの個人情報を適切に管理し、目的に沿って正しく利用します。