事例で学ぶ 処方チェック コミュニケーション

CASE.17

ポララミン錠服用中の患者にフスコデ配合錠が処方された?

  • 呼吸器系
関連キーワード:
  • 重複投与

難易度:★★

疾患名:鼻かぜ
  • 医薬品販売名:
    (1)ポララミン錠 2 mg/散 1%/シロップ 0.04%/ドライシロップ 0.2%
    (2)フスコデ配合錠/シロップ
  • 医薬品一般名:
    (1)d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
    (2)ジヒドロコデインリン酸塩/dl-メチルエフェドリン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩

問題

下記の事例において、何をチェックし、具体的には何が問題であり、
疑義照会する際はどのように伝えればよいでしょうか?

50歳代女性、アレルギー性鼻炎のため内科医院から処方された<処方 1>の薬剤を服用している。今回、感冒のために同じ医院にかかり、<処方 2>の薬剤が処方された。

<処方 1> 内科医院 手書き処方せん

  • ポララミン錠2mg
    3錠 1日3回 毎食後 14日分

<処方 2> 内科医院 手書き処方せん

  • フスコデ配合錠
    9錠 1日3回 毎食後 5日分
  • PL 配合顆粒
    4g 1日4回 毎食後・就寝前 5日分

チェックすべきことは? 何が問題?
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解答

チェックポイント

ポララミン錠<d-クロルフェニラミンマレイン酸塩>とフスコデ配合錠<ジヒドロコデインリン酸塩/dl-メチルエフェドリン塩酸塩/クロルフェニラミンマレイン酸塩>の主薬をチェックし、成分が重複していないか確認する。

問題点

患者はアレルギー性鼻炎のためにすでにポララミン錠を服用しており、そこにクロルフェニラミンマレイン酸塩が含有されているフスコデ配合錠が処方されている。両剤に含有されるクロルフェニラミンマレイン酸塩の重複処方が医師によって見逃された可能性があり、このまま併用してしまうと、クロルフェニラミンマレイン酸塩の過量投与になる可能性が考えられる。そのため、他の鎮咳薬を提案するか、ポララミン錠の服薬中止を提案する必要がある。

疑義照会

「患者さんは、すでにアレルギー性鼻炎のためにポララミン錠を服用中です。ポララミン錠に含まれているクロルフェニラミンマレイン酸塩は、今回処方されたフスコデ配合錠にも含まれております。フスコデ配合錠中に含まれる活性体としてのクロルフェニラミンマレイン酸塩の量は、ポララミン錠に含まれる量とほぼ同等となっております。また、PL顆粒にも同じく抗ヒスタミン作用を有するプロメタジンメチレンジサリチル酸塩が含有されています。」と疑義照会した。当該医師は「ポララミン錠とフスコデ配合錠に、同じ成分であるクロルフェニラミンマレイン酸塩が含まれていることを知りませんでした」と答え、併せてフスコデ配合錠に含まれるクロルフェニラミンマレイン酸塩で十分量であると判断し、<処方 2>服用中はポララミン錠の服用は一時的に中止することとなった。そこで以下の処方内容の指導および一時的に服薬中止の指導を行うことになった。

<処方 2> 内科医院 手書き処方せん

  • フスコデ配合錠
    9錠 1日3回 毎食後 5日分
  • PL 配合顆粒
    4g 1日4回 毎食後・就寝前 5日分

    上記薬剤を服薬中は<処方 1>のポララミン錠は服薬中止とする。

まとめ

・医師は、フスコデ配合錠に抗ヒスタミン薬 (クロルフェニラミンマレイン酸塩) が配合されていることを認識していない可能性もあるので、抗ヒスタミン薬を服用中の患者にフスコデ配合錠が処方された場合、両剤に含まれる抗ヒスタミン薬の種類や含有量、また重複投与にならないかを確認する必要がある。

解答に必要な医薬品情報

フスコデ配合錠の1錠中には、ジヒドロコデインリン酸塩3mg、dl-メチルエフェドリン塩酸塩7mg、クロルフェニラミンマレイン酸塩1.5mgが含有されている。したがって用法・用量に従えば、1日に13.5mgのクロルフェニラミンマレイン酸塩(6.75mgのd-クロルフェニラミンマレイン酸塩)を服用することになる。一方、ポララミン錠2mg1錠中にはd-クロルフェニラミンマレイン酸塩2mgが含まれており、1日量としては、6mgということになる。今回<処方2>を追加することによってd-クロルフェニラミンマレイン酸塩は倍量に投与されることになる。さらに、PL配合顆粒にも、同じく抗ヒスタミン作用を有するプロメタジンメチレンジサリチル酸塩が含有されている。したがって<処方2>の薬剤を交付する場合には、<処方1>の薬剤は一時中止することが妥当と考えられる。

もっと知る!

抗ヒスタミン薬の重複に関しては、 OTC医薬品でも注意が必要である。抗ヒスタミン作用を有する成分は抗アレルギー薬(内服、点眼、点鼻薬)だけでなく、酔い止め薬、睡眠改善薬など幅広いOTC医薬品には利用されている。OTC医薬品は、消費者が自己判断で購入するため、成分が重複していることに気づきにくい危険性があることに薬剤師は留意しておくべきである。したがって、抗ヒスタミン作用を有する医薬品が処方された際には、OTC医薬品にまで範囲を拡げ、併用薬チェックを行う必要がある。

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