病院や薬局に従事されている薬剤師の方にとって研究職の世界に興味はあっても、なかなか自分では知る事が難しい世界かと思います。
薬学部を出た研究者は有利で、活躍している研究者の中に薬学部出身者も結構存在しています。
今回は、研究職での薬剤師免許の有利な事例を紹介したいと思います。

研究職の公募サイトの中に「薬剤師免許必須」の文字

条件を入力し、求めている求人をさがせる薬剤師転職サイトが存在するように、研究職の求人サイトが存在します。
独立行政法人科学技術振興機構(JST)が運営している「JREC-IN」です。
「薬剤師免許」と検索すると薬剤師免許が必要な研究職の求人が出てきます。
中には「薬剤師免許必須」の文字もみかけ、大学や研究所のホームページに独自に公募情報が載っているものもあります。

研究職は狭き門であるという現状!

どの学部においても大学院生が増えた昨今では、研究職の募集倍率はかなりのものになります。
その中で薬剤師免許が必須、または薬剤師免許が望ましいとされる求人の場合は、1名の募集に対して10~20名くらいになると言われております。
他の学部と比較して、薬剤師免許と博士号を持つ人はまだ少ないというのが現状です。

この理由としては、国公立薬学部出身者は博士号は持っていても薬剤師免許がなかったり、私立薬学部出身者は薬剤師免許はもっていても博士号を取っていない場合が多いことがあげられます。
つまり薬剤師免許があるだけで、募集の段階でかなり有利になります。
一見薬学とは関係ない分野の研究者でも、薬剤師免許を持っている人が意外と多いのもこういった理由からかもしれません。

臨床現場にいる薬剤師が大学教員になる可能性も!?

研究者の中で大学教員だけの事例にしぼって考えてみたときも、薬剤師免許が有利になることがあります。
しかも薬局や病院を経験した方がより有利になることがあります。
それは「実務家教員」と呼ばれる枠です。薬学部や医学部で特に最近見られます。

これは研究ばかりしてきた人ではなく、臨床の現場で薬剤師の実務を経験した方を優先的に採用し、薬剤師技能の実務教育をしてもらおうというものです。
特に薬学部が6年制になった昨今では臨床薬学に重きが置かれているのでこの枠は増えていますが、これを満たす人材は不足しているのでかなり有利となります。

もちろん、教員として採用されてしまえば、研究に関しては好きな事ができます。
これまでは薬剤師になるか研究にいくかというのを大学卒業時点で決めないといけないというのが暗黙の了解でした。

しかし、これからは薬剤師の実務経験があった方がむしろ教員になりやすいという時代がくるかもしれません。
薬局に勤めている薬剤師の多くの方々から、研究に興味があるが今更無理だと諦めているという声を聞きます。
今回の事例を是非知っていただきたいと思います。