医薬品のネット販売解禁、再生医療の広がり、TPP導入、超少子高齢社会への突入などといった慌ただしい時代の変化がおきている昨今、他の業界と比べても最も活発な変化や発展が予想されているのが医療業界です。
その中で薬剤師の立ち位置というのも良くも悪くも大きく変化してくることは必須です。

第99回薬剤師国試の結果から見る今後の課題とは!?

第99回薬剤師国試の合格率が60.84%と、前年より18.26ポイントも大幅に下落したことが話題になりました。
色々な場面で議論がなされておりますし、現場にくる新卒薬剤師の想定人数を大きく下回ったことで採用に苦労されている薬局も多いと聞きます。
合格率が低下した面ばかりにとらわれがちですが、今後必要とされる薬剤師像のヒントになる部分が、今回の結果の中に隠れています。

最も特筆すべき点は、薬剤師国試合格率(新卒・既卒含め)の第一位が国立の金沢大学という点です。
薬剤師国試ではここ10年私立がトップを争い、トップ10にも私立が並んでいました。国公立では創薬研究に重点を置き、国試対策はあまりやりません。
私立では臨床に重点を置いており国試対策もしっかりとやります。

そのことが原因であると言われていましたが、今年はトップが国立、トップ10にも国公立がいくつか顔を出します。
このことから、これからの薬剤師に必要な事は「文章を正しく解釈する論理力と知識を総動員して自力で考える力」と言えます。
今年の国試の問題をみても暗記しているだけではだめなものが多いです。
このことは、国が今後の薬剤師はただ言われた通りやるのではなく、論理的に考え、かつ自力でアイディアをだせる力を身につけていて欲しいというメッセージとも言えます。

実務的に必要となってくる能力は?

外国人の患者が増えたり、外国人の医療従事者の増加が予想されている、また、チーム医療が絶対条件になるレベルに医療が高度化してくることが予想される昨今、磨かないといけないのはどんな能力でしょうか。
厚生労働省の元官僚で大学教授の中野雅至先生の本「食える学歴~親・官僚・大学教授の立場から見つけた真実~」からそのヒントを見つけることができます。


  1. メンタルの強さ
  2. 語学・資格(特に業務独占)
  3. コミュニケーション能力
  4. 人脈
  5. 経験

これらは薬剤師に限った事ではなく、どの職種でもこれから必要となる能力と言えます。
薬剤師はすでに業務独占資格を持っていますし、転職を考える方なら実務経験もあります。
あとは薬剤師以外の方とも広く交流していくことで、また積極的に新しい経験を積んでいくことでメンタルの強さ、コミュニケーション能力、人脈を磨いていけます。

また英語力を磨く事も大事です。
国際化の波の中でも発展していける薬剤師になれるように日々心がけると良いかと思います。