きたるべく薬剤師過剰時代に向けて、薬剤師免許以外の資格も取得し「ダブルライセンス」で乗りきるという選択肢もあります。
今回は、薬剤師の仲間である同じく厚生労働省管轄の国家資格「臨床検査技師」をご紹介。病院でも一緒に仕事をしたりして当然知っていると思います。

検査値を書いた処方箋や簡易検査を薬局で行おうという時流が!?

最近になって検査値を記載した処方箋を発行する病院が増えてきていたり、国の指針で、簡易検査を薬局で行うという時流があります。
薬剤師も今後は検査値、またその値を出す元になった検査法の理解が必須になってきます。
そのため、薬局で臨床検査技師をもっていれば重宝されるものと思います。

この資格はご存知のように、心電図や血液検査といった生理学的検査を医師の監督の下で行う資格です。
検査と薬の両面から患者さんを見られる薬剤師であれば、病院に就職する時にも有利です。
就職してからも、臨床検査技師とも対等に話ができるので円滑な業務遂行やチーム医療での活躍が期待できます。
検査機関や研究所などの公募でも意外と臨床検査技師を持っていることを案件にしているものが多いので、そういった方面に転職したいという方にも有利となります。

また、意外と盲点なのが、どういった病態で死んだのかを調査する病理医による病理解剖の補助を優先的に行えるということです。
無資格の学生等がバイトで行ういわゆる病理解剖助手という職種とは別なのですが、現在、正式な病理解剖では実質的に臨床検査技師が補助を行うことが原則になっています。
具体的には死体からの血液採取、摘出臓器の標本作成、縫合等の医学的行為の補助が行えます。
このことから、大学医学部病理学教室のスタッフ採用で有利になる他、その研究室での病理学的研究にも参加できるので、こういった研究に参加したい方も有利となります。

実は薬剤師であれば取得できる道がある!?

通常は、臨床検査に関わる3年制の短大や専門学校、または4年制の大学を卒業した後に、国家試験を受けて取得します。
これには例外が設けられていて、「薬学部、獣医学部、理学部などにおいて薬学、獣医学、理学などの課程に加えて臨床検査に関わる一定の科目(具体的には、医用工学概論、臨床検査総論、臨床生理学、臨床化学、放射性同位元素検査技術学)を取得した人や、医学部医学科、歯学部歯学科の卒業者および医師・歯科医師免許取得者も臨床検査技師国家試験の受験資格を有する」というものです。

つまり、薬剤師であれば、追加科目をどこかで取得できれば受験資格が与えられます。
薬学部によっては、これらの科目の一部、または全部を卒業必要単位の中に組み込んでいるところもあるので、こういった薬学部出身の方はかなり有利です。
科目に関しては出身の薬学部に問い合わせるとわかるかと思います。

資格概要

薬剤師と同様、国家試験を受験します。

[資格の種類]
臨床検査技師国家資格自体は一つの種類ですが、近年、この資格も専門化する動きがあり、この資格の専門・上位資格(いずれも学会や団体が認定するもの)として、細胞検査士、超音波検査士、認定輸血検査技師などがあります。

[取得方法]
通常は、前述したように指定された学校で臨床検査に関わる科目をおさめて卒業した後、国家試験を受験します。
薬剤師は一部の科目を追加でとることで国家試験受験資格が与えられます。
[難易度]
合格率平均は毎年約70~80%です。
薬学部出身者の合格率は大学によって幅がありますが、通常の合格率よりは低い傾向にあります。