薬剤師はよく耳にするワードであるミネラル。サプリメントなどで摂取する場合もあります。しかし、いざミネラルとは何か?と問われると、正確に即答できる人は意外と少ないかもしれません。今回は身近だけど意外とわかりにくいミネラルについて復習しましょう。
そもそもミネラルってどんなもの?
ミネラルと一口に言ってもさまざまな種類があります。化学的に説明すると、いわゆる元素のことですが、ここで注意すべきことがあります。
ミネラルとは正確には、元素のうち体を構成する有機物に含まれている酸素、炭素、水素、窒素の4つ以外のものを指します。そして、ミネラルは、体の機能維持や調節に必須である炭水化物、タンパク質、脂肪、ビタミンとならび、5大栄養素の1つでもあります。別名、無機質とも呼ばれます。
ミネラルには多くの種類が存在しますが、人にとって不可欠なものを「必須ミネラル」と定義しており、16種類あると考えられています。ミネラルはビタミン同様、単独で働くというより、補助的な機能を持っているものが多いです。
必須ミネラルの種類と各々の役割とは?
世間的に販売されているミネラルのサプリメントには、必須ミネラルが含まれているため、必須ミネラルについて正しく理解しておくことが必要です。
16種類を具体的に列挙すると、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、硫黄、塩素、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、セレン、モリブデン、ヨウ素になります。これらの代表的な働きを覚えておきましょう。
- ナトリウム、カリウム…体液の浸透圧バランスを調整する働きがあります。
- カルシウム…体内に最も多く存在するミネラルで、骨などの構成成分として存在しながら、筋肉の興奮を抑える働きもあります。
- マグネシウム…タンパク質合成や体温調節などの反応に関与する酵素をサポートします。
- リン…カルシウムに次いで多く存在し、成人体重のうちおよそ1%を占めるメジャーなミネラルで、細胞膜や核酸の構成要素です。
- 硫黄…髪の毛や爪などのタンパク質を作ります。
- 塩素…胃酸に多く含まれています。
- クロム…インスリンの働きを活性化したり、中性脂肪を正常に保ったりする役割があります。
- マンガン…体内において重要な機能を持つ金属酵素の構成成分で、酵素反応に関与します。
- 鉄…血中のヘモグロビンに多く存在して、不足すると鉄欠乏性貧血につながります。薬の中にも鉄剤があるので、機能が認知されているミネラルの1つです。
- コバルト…ビタミンB12の構成成分で、ヘモグロビン生成に関与します。
- 銅…赤血球形成を促進したり、免疫能を補助したりする機能を担います。
- 亜鉛…味覚、生殖機能、免疫能などの幅広い機能に関与しています。鉄と同様、亜鉛を補う薬もあるくらい大事なミネラルです。
- セレン…タンパク質の一部を構成するものですが、毒性が強く、サプリメントなどでの安易な摂取は避けた方が良いものです。
- モリブデン…肝臓や腎臓に多く存在し、解毒に関わっています。
- ヨウ素…甲状腺ホルモンや成長ホルモンに関与して、新陳代謝や成長に関わります。
ミネラル摂取の注意点は?
前述のように、ミネラルは体の機能維持に必須な栄養素ですが、過剰に摂取すると悪影響が出ることもあります。また、ミネラルは単独で働くというより、補助的な機能を持っているものなので、ミネラルばかり摂取してもあまり意味がないということも覚えておいたほうが良いです。
バランスの良い食生活を意識することによって、ほとんどのミネラルは適切な種類と量をちょうど良いバランスで、かつ、メインとなるタンパク質などと同時に摂取できるため、サプリメントに頼る前に食生活改善を目指すことがベストとなります。
やむを得ず、サプリメントから摂取する場合には、タンパク質の材料となるアミノ酸やミネラル、ビタミンがバランス良く配合されたものを選ぶのが良いでしょう。
ぜひミネラルに関しても説明できるようになってください。
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