健康に良い成分としてよく紹介されるポリフェノール。多くの種類があり、その効果もさまざまですが、薬剤師でもポリフェノールについてよく知らない方もいるのではないでしょうか。今回は、ポリフェノールについて学んでみましょう。

そもそもポリフェノールとは?

ポリフェノールとは、多くの植物に存在している色素成分のことで、その種類は何千種類ともいわれています。有害な活性酸素種を無毒化する強力な抗酸化作用を持っており、生活習慣病の予防などに効果的であるという特徴があります。ポリフェノールの抗酸化作用は、ビタミンCに匹敵するレベルのものもあります。また、ポリフェノールの種類により独自の役割があり、上手に摂取できれば健康増進への効果が期待できます。

以前のコラム(「フレンチパラドックス」を知っていますか?)で紹介した、赤ワインをたくさん飲むフランス人は、脂っこいものをたくさん食べていても生活習慣病に罹る人が何故か少ないという「フレンチパラドックス」にも、ポリフェノールが深く関わっていると考えられています。

ポリフェノールのサプリメントを摂る際、ただ漠然と服用しているという人がほとんどかと思いますが、薬剤師は、サプリメントを販売する際、ポリフェノールの利点を科学的に説明し、さらに多くの方の健康に寄与していくべきであると考えます。

ポリフェノールの種類は多岐にわたる?

前述したようにポリフェノールは何千種類もありますが、その中でもヒトへの効果が確認されているものは正確に覚えておきましょう。具体的には、カカオポリフェノール、クルクミン、クロロゲン酸、アントシアニン、カテキン、ルチン、ショウガオール、フェルラ酸、イソフラボン、レスベラトロールの10種類です。これら10種類のポリフェノールは、実際に商品化されているため、しっかりと理解しておくことが重要です。

サプリメントなどを見てみると、成分が単独で入っている商品はもちろん、いくつかが組み合わさっているものも多いです。特に、いくつかの成分が入っている商品の場合には、各々の役割を正しく理解しておくことが大切です。

各々が持つ効果とは?

前述した10種類のポリフェノールのそれぞれの効果を見ていきましょう。

(1) カカオポリフェノール…チョコレートの原料であるカカオに含まれているもので、血圧降下、動脈硬化予防、美肌、アレルギー改善などの効果があります。

(2) クルクミン…ウコンに含まれている成分で、肝臓保護作用を有します。

(3) クロロゲン酸…別名として、コーヒーポリフェノールとも呼ばれ、コーヒーに含まれています。脂肪燃焼効果があります。

(4) アントシアニン…ブルーベリーなどに含まれていて、視力機能の改善に寄与することが期待されます。

(5) カテキン…緑茶などに含まれていて、タンニンという名前でも知られています。殺菌作用が有名ですが、他にも免疫力アップや糖質吸収を緩やかにするなどの幅広い効果を持っています。免疫力アップが期待できるため、コロナ禍において摂取することが推奨されている成分です。

(6) ルチン…そばなどに含まれているもので、毛細血管強化作用などがあります。

(7) ショウガオール…生姜に含まれていて、血行促進、臓器を温めるなどの作用があります。

(8) フェルラ酸…玄米に含まれているもので、メラニン抑制による美容効果が期待できます。

(9) イソフラボン…大豆に含まれていて、女性ホルモンに似ているといわれている成分です。更年期障害の改善、骨粗しょう症の予防などの効果が期待できます。

(10) レスベラトロール…赤ワインに含まれているもので、肌の老化予防、生活習慣病予防などの効果が期待できます。

摂りすぎはもちろんダメ!

ポリフェノールが含まれている食材を摂取する際、通常の食事量で摂りすぎになることはまずないですが、サプリメントなどで摂取する場合には注意が必要です。いくら健康に良い成分でも、摂りすぎた場合、健康障害につながることもあります。当たり前のことですが、今一度正しく理解しておくべきポイントです。

特に複数のサプリメントを摂取する場合、無意識に重複した成分を過剰量摂取してしまっていることもあります。薬剤師は、併用薬の把握だけでなく、サプリメントなどの摂取状況をヒアリングすることも重要です。また、食事から摂取する際にも注意すべき点がいくつかあります。

例えば、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールが健康に良いからといって、チョコレートを食べすぎると、脂肪や糖分も過剰摂取することとなり肥満の原因になります。他にも、赤ワインが健康に良いからといって、赤ワインを飲みすぎると、アルコール中毒になる場合もあります。どのような成分も適量を正しく摂取することが大切です。

ぜひ、ポリフェノールの理解を深め、薬剤師として説明できるプロになってください。

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