近年の医療の多様化の中で、代替医療が注目を集めており、その中の一つにハーブがあります。ハーブの成分を利用したアロマもたくさんの場面で実際に使われていますが、実はハーブは古来より使われてきたものです。今回はハーブについてみてみましょう。

ハーブの歴史は?

ハーブは、料理の香り付けや保存のほか、薬、香料、防虫などに利用されることが主で、香りに鎮静・興奮などの作用がある有用植物になります。また、緑の葉を持つ草、茎のやわらかい植物などを指すことが多いとされています。なお、同様の有用植物でも、種子、実、根、樹皮などは香辛料と呼ばれることが多いですが、時にはこれらも含めてハーブとしていることもあります。語源としては、「草」、「草木」などを意味するラテン語の「herba」からきています。

ハーブは主にヨーロッパで伝統的に使われてきたものがメインで、昔は病気の原因は悪い空気であるとされていたため、強い香りで病気を防ぐために使用されてきたという歴史があります。歴史を遡ると、紀元前まで遡ることができ、医学の父と言われているヒポクラテスは267の薬草を治療に使っていたことがわかっていますし、その後、ギリシャの医師・植物学者のディオスコリデスは薬物誌「De Materia Medica」を執筆し、そこに約600種類の薬草を掲載しました。

また、伝統医学として中国には中医学が、日本には漢方医学がありますが、そこで使われている生薬の中にもハーブに該当するものが存在するため、ヨーロッパだけでなく、世界中でハーブは病気の治療薬として長きにわたって使われてきたことがわかります。

現在は代替医療の一つとして確立されている!

現在ハーブは、「メディカルハーブ」として、代替医療の一つである「自然療法」の一分野として実際の医療現場でも使われるようになってきました。日本メディカルハーブ協会も設立されており、今後さらに広がっていくと考えられます。

西洋医学と異なり、体全体のバランスを考えることで、本来もっている自然治癒力に働きかけるようにするのがメディカルハーブ療法です。こういう点で、漢方薬に似ているため、漢方医学を勉強する課程で、このメディカルハーブやその成分のアロマも同時に学べばより有効と言えます。

メディカルハーブは一般用医薬品にも存在している?

その特有の香りを利用したハーブは身体的症状以上に、不眠や不安などの精神的症状の緩和により効果的だと言われており、生理前にイライラするなどの女性特有の生理前症候群(PMS)にも適しています。メディカルハーブが使用されているプレフェミン®は、日本で唯一のPMS治療薬(要指導医薬品)の一般用医薬品として製品化されており、すでにヨーロッパ各国でも広く医薬品として使われています。その有効成分はメディカルハーブの一つ、チェストベリーのエキスになります。メディカルハーブがきちんとした医薬品として日本でも認められるようになってきている証拠と言えます。今後もメディカルハーブ成分を含有した医薬品は増えてくるかもしれませんね。

薬のプロである薬剤師だからこそ注意したい点とは??

薬のプロである薬剤師として、今後重要性が増してくるであろうメディカルハーブに関してもきちんと勉強していきたいところです。

そこで、薬剤師だからこそ注意したい点があります。日本においては、ハーブの多くは医薬品ではなく、サプリメントや食品として流通しています。一般の方でも手軽に購入できる点はいいのですが、ハーブの成分も医薬品と同様、相互作用や過剰摂取には注意が必要になります。

栄養士や料理研究家など他の専門家とは違う目線で、幅広い化学の知識を持つ薬剤師が、やはりメディカルハーブの知識もきちんと持ちあわせ、科学的に正しくアドバイスできるようになるべきだと考えます。ぜひご自身でもメディカルハーブについて勉強してみてください。

リクナビ薬剤師では働く薬剤師さんを応援しています。転職についてお悩みの方はこちらのフォームよりご相談ください。