長きにわたるマスク生活により、口の中で菌が増殖し、口の匂いが気になる方が増えているようです。コロナ禍で歯科医院に行く機会も減り、虫歯を放置してしまう方も増えているのではないでしょうか。
今回は、薬剤師から患者さんへ勧めたい虫歯予防・口腔ケアについて言及していきたいと思います。

そもそも虫歯になりやすい人って?

まずは虫歯発生のメカニズムについて触れていきたいと思います。食事をすると歯垢が溜まり、その歯垢にミュータンス菌が棲みつきます。そのミュータンス菌が糖分を分解して酸を作り出し、さらに酸が歯のエナメル質を溶かし、歯に穴があくことで虫歯になります。

つまり、歯垢を落とすことで、原因菌となるニュースタンス菌が棲みつきにくくなり、虫歯をある程度は防ぐことができます。反対に、歯垢が残りやすい人は、虫歯になるリスクが高いということになります。

歯垢が残りやすい人の特徴は以下です。

(1)歯並びが悪い人
歯ブラシが歯の隙間まで届きにくくなってしまうため、虫歯になりやすいです。

(2)唾液が少ない人
唾液が本来持つ抗菌作用や自助作用(歯垢などを歯から洗い流す作用)などが働きにくく、虫歯につながります。コロナ禍のマスク生活により唾液不足が深刻化しており、唾液不足による虫歯が特に問題になっています。

(3)すでに歯周病を患っている人
歯周病で歯茎が下がっているため、歯根の柔らかい部分である象牙質が剥き出しになってしまい、虫歯になりやすいです。

(4)被せ物や詰め物が多い人
詰め物や被せ物と歯の間に歯垢がたまりやすいことに加え、歯ブラシも届きにくいため、虫歯になりやすいと言われています。また、虫歯になっても気が付きにくいという特徴もあります。

生活習慣も大事?

歯並びが美しい、唾液分泌が豊富、など前述した虫歯になりやすい条件を満たしていない方でも、生活習慣次第では虫歯になりやすい状態になってしまいます。例えば、食事回数に比べて歯磨き回数が少ない人、間食に甘いものをとりがちな人、歯科医院の受診が少ない人などが該当します。

また、食後すぐに歯磨きをする人も虫歯になりやすいと言われています。食事すると、口腔内は酸性に傾きがちで、歯が柔らかくなっています。食後しばらくすると、分泌されている唾液により口腔内が酸性の状態から中和されます。しかし、食後すぐに歯磨きしてしまうと、口腔内は完全に中和されていないため歯を傷つけてしまうことになり、その傷をきっかけに虫歯になりやすい状態になってしまうのです。
歯磨きは適切なタイミングで行うことが大切です。

薬剤師からの虫歯予防・口腔ケアアプローチとは?

歯科医院を受診するほどではないがケアしたい、または、次に歯科医院を受診するまでのつなぎとしてケアしたい、という方がいた場合は、薬剤師が積極的にアドバイスし、貢献していきましょう。

歯磨きだけでは物足りないという方には、歯間ブラシデンタルフロスがおすすめです。デンタルフロスの注意点として、使用中に引っかかったり、ほつれたりする場合には、歯と歯の間に虫歯がある可能性があるため、すぐに歯科医院に相談してもらうようアドバイスしましょう。

仕事の関係などでどうしても食後に歯磨きをすることが難しい方には、キシリトール入りのガムを噛むことをお勧めするのが良いでしょう。ガムを噛むことで唾液分泌が促進されるため虫歯予防に有効です。また、キシリトールには歯のエナメル質の修復を促進するだけでなく、酸を作らせないという働きもあり、結果として口腔内環境が良好になります。

寝たきりの方には、ご家族が歯磨きをしようとしても、適度な力の入れ方がわからず上手に歯磨きができないというのが現状です。そのような場合には、歯磨き・口腔ケア用のウェットティッシュを使うと良いでしょう。なお、歯磨き・口腔ケア用のウェットティッシュは、災害時など水が使用できない時にも有効です。

歯磨きでは届かない部分の菌に対処したい場合には、歯磨き後にマウスウォッシュを使用すると良いでしょう。アルコール配合タイプのものの方がより効果的ではありますが、何度も繰り返し使用すると、口腔粘膜への刺激が強すぎるあまり粘膜にダメージを与えてしまうことがあるため注意が必要です。

今回紹介した商品以外にもたくさんの商品があります。ぜひオーラルケアにも詳しい薬剤師になってください。

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