女性は男性と比べて生理やストレスなどの影響でホルモンバランスが崩れやすく、日々何かと体の不調に悩まされることが多いです。漢方薬は女性特有の不調を得意としています。ただ使い分けを間違うと逆に悪化してしまう可能性もあります。今回は婦人科でよく使われる漢方薬について復習してみましょう。

婦人科でよく使われる漢方薬をまずは見てみよう!!

漢方薬は本来、各々の証に合わせて処方するものなので、厳密に言えば患者さん一人ひとり違った処方になります。しかし、それを極めるのはなかなか大変なので、よく使われるものをまずは覚えておくと良いと思います。

婦人科漢方の3大スターと言っても過言ではないものとして、当帰芍薬散・桂枝茯苓丸・加味逍遥散があります。薬剤師として働いているなら一度はどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。ただその使い分けができていない例もよく見かけます。最近では、これらの漢方薬がOTCでも気軽に手に入る時代になったため、漢方薬を専門としていなくても、薬剤師としては使い分けをきちんと把握したいものです。

適切な漢方薬は、薬局に来た患者さんの見た目で、ある程度簡単に見積もることができます。その方が華奢で色白、かつ声も小さければ当帰芍薬散が適しているでしょう。逆に、体格もがっちりしていて声が大きく、体力がありそうなら桂枝茯苓丸がおすすめです。体格が華奢でもがっちりでもなく、目立つ身体的特徴がないなら加味逍遥散が良いと思います。

見た目の他にも、症状から見積もることもできます。とにかく全身の冷えがひどく、肩こりやむくみも気になるということなら当帰芍薬散が適していると考えられます。ほてりがあり、かつ、上半身がのぼせる感じが強いということなら桂枝茯苓丸が、イライラや不眠などの精神的症状が特に強いということなら加味逍遥散がおすすめです。まずは基本として覚えておきましょう。

3大スターの他にもバラエティに富んだラインナップがある?!

前述した3つの漢方薬を理解しておくと、患者さんそれぞれの悩みに合わせた別の漢方薬に変更したり追加したりがしやすくなります。

例えば、当帰芍薬散が適した方で、効き目が感じられない場合、当帰芍薬散に加えて、四物湯と五苓散(または四苓湯)も一緒に飲むことが有効です。桂枝茯苓丸が適しており、さらにニキビや肌荒れも目立つという方には、薏苡仁を加えた桂枝茯苓丸加薏苡仁への変更が、加味逍遥散が適しており、訴えている症状がいつも一定と感じる方には女神散への変更がおすすめです。

この他、婦人科で使われる漢方薬には下記のようなものがあります。

温経湯…口唇や皮膚の乾燥があり、手のひらや足にはほてり
感補中益気湯…イライラなどの精神的症状はないものの、疲労感や倦怠感が強く、寝汗などもある
四物血行散…低血圧気味で貧血や全身倦怠感がひどい
桃核承気湯…不安感が強くかつ便秘がひどい

参考程度ですが、桃核承気湯に含まれる芒硝は、西洋医学で有名な便秘薬である酸化マグネシウムと似た成分を含んでいます。便秘に特化していることが理解できますね。

出産の悩みにも効果的!

ストレス社会と呼ばれる現代、不妊の方が増えていると言われています。漢方薬は不妊にも適しているので、不妊治療の一環として漢方薬が処方されることが少なくないです。前述した漢方薬はそれぞれの体質に合えば根本的な改善になり、より不妊にも効果を発揮します。

ここで盲点があります。不妊治療の場合には女性だけでなく、男性の方に原因があることもあるので、婦人科といっても男性の患者さんも受診し、処方を受けることがあります。婦人科の漢方薬を覚える時には男性不妊に使われる漢方薬も一緒に覚えることが必要になってくるということです。

よく使われるものとしては、補中益気湯と八味地黄丸です。補中益気湯は虚弱体質で疲れやすい方や勃起障害の方に、八味地黄丸は精子の数が少ない方や精子自体が老化している方に適しています。

余談ですが、平均寿命が約40歳だった時代に75歳まで生き、子だくさんとして有名だった徳川家康は漢方薬をずっと愛用していました。この漢方薬は八味地黄丸をベースにしているものだったのです。歴史にも裏打ちされている漢方薬ということになりますね。異性の漢方薬の説明は難しいという方もいらっしゃるかと思いますが、需要の高い科目だと思います。ぜひ自分でも勉強してみてください。

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