きたるべく薬剤師過剰時代に向けて、薬剤師免許以外の資格も取得し「ダブルライセンス」で乗りきるという選択肢もあります。
今回は、食品衛生法に規定されている厚生労働省管轄の国家資格「食品衛生管理者」と各都道府県管轄の公的資格「食品衛生責任者」をご紹介。
飲食店に行った時に、店の中にこの資格を持っている人がいるという旨のシールが貼ってあるのを見かけることがあります。
2つの違いを説明しながら薬剤師との関わりを紹介したいと思います。

薬学を学んだ人なら、講習や実務経験なしで資格が取れる

食品を製造・加工する業種には「食品衛生管理者」の配置が義務づけられています。
施設における製造もしくは加工の段階で、衛生上の考慮を必要とする食品や添加物などの衛生管理を行うことが仕事です。

食品衛生管理者を置かなければならない業種で、衛生管理の業務に3年以上従事し、かつ、1カ月に及ぶ講習(受講料4万円)を修了することが必要ですので、取得自体が結構面倒です。
しかしながら、医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学または農芸化学をおさめて卒業した人や厚生労働大臣の登録を受けた食品衛生管理者養成施設(栄養士・管理栄養士養成校などに併設されている事が多い)を修了した人は、講習や実務経験なしで食品衛生管理者になることができます。
薬剤師はもちろんこの中に含まれますので、講習を受ける必要はありません。

2つの資格の違いは!?

似た資格で「食品衛生責任者」というのがありますが、こちらは都道府県管轄の公的資格になります。
食品衛生管理者を置く必要がない施設であっても、食品衛生法に定められた許可営業者は、飲食店や食品製造業ごとに置くように各都道府県の条例で定められています。

つまりは、ほぼすべての飲食店で必要とされる資格で、食品衛生責任者を選任したら必ず保健所に届け出なければいけませんので選任しないまま飲食店の経営はできません。
簡易な屋台などでも必要になってくることがあります。
こちらも講習を受けて取得します(受講料1万円)。
ちなみにこちらは国が行う訳ではないので、都道府県によっては受講制限をもうけていますので、受講できる人の範囲が都道府県単位で異なっています。

この資格も講習不要な要件があります。
食品衛生管理者の要件に加えて、調理師や製菓衛生師なども含まれます。
薬剤師の中には、薬膳レストラン経営や、飲食業、または食品会社の加工食品を扱う部門へと進む人も結構います。

その時に薬剤師であれば食品衛生管理者と食品衛生責任者の両方の資格者になれます。
講習に時間を取られないため、すぐに業務を遂行できるので有利です。
薬剤師なのに意外と知らない方が多いので、今回の資格も覚えておいてください。

資格概要

国家資格か否かや必置場所などの点で名前は似ているけど非なる資格。

[資格の種類]
食品衛生管理者は国家資格で、食品、または添加物を製造・加工する業種では必置義務あり。
食品衛生責任者は公的資格で、食品衛生法に定められた許可営業者は、飲食店や食品製造業ごとに必置義務があり。
[取得方法]
講習不要要件に該当しない一般の人は、両方とも規定の講習を修了して取得。
[難易度]
薬剤師であればそのまま食品衛生管理者と食品衛生責任者の両方と見なされます。