きたるべく薬剤師過剰時代に向けて、薬剤師免許以外の資格も取得し「ダブルライセンス」で乗りきるという選択肢もあります。
今回は、「特定工場における公害防止組織の設備に関する法」に規定されている、経済産業省及び環境省管轄の国家資格「公害防止管理者」をご紹介。
公害問題が再び増えている昨今では高需要な資格です。

どんな資格?

水俣病やイタイイタイ病などの公害は過去のものと考えがちですが、昨今の日本でも規模の大小を問わず公害問題は定期的に発生しています。
壮絶なインパクトを残した福島原発事故も最近の公害問題の代表と言えるでしょう。
公害問題は限られた土地の中で工業地帯を密集させてきた日本においては、現代においても避けては通れない問題です。
この資格を持っていると公害問題のスペシャリストと見なされ、かなり有利になります。

事業内容の区分ごとに絶対に置かなければいけない必置資格!

製造業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業の工場では絶対置かなければならないだけでなく、これら以外にも、ばい煙発生施設、特定粉じん発生施設、一般粉じん発生施設、汚水排出施設、騒音発生施設、振動発生施設、ダイオキシン類発生施設を持つ工場にも必ず置く必要があります。

こういった工場を持つ企業は多いので、転職の幅はかなり広がります。
薬剤師としての転職の際にも、公害防止の観点からアドバイスできる人材になれるので、公害問題を抱える地区の自治体の薬剤師としてや、公害病患者を多数抱える病院に優先的に就職できるなど、幅が広がると考えられます。

何に役立つ?

公害問題が社会問題になってきた1970年代に、公害に関する法律が次々と改正されてきた中でこの資格が生まれました。
高度な専門性を付与させるために、大気関係第1種~第4、水質関係第1種~第4、騒音・振動関係、特定粉じん関係、一般粉じん関係、ダイオキシン類関係、公害防止主任管理者とかなり細分化されています。

資格の種類の多さは公害防止対策に国が力をいれている証!?

免許が与えられる訳ではなく、分類ごとの国家試験合格証書が与えられることで、分類ごとの公害防止管理の有資格者となります。この資格保持者の中から各分類の公害防止管理者を選任します。

ただ、一部例外があって、特定粉じん関係、一般粉じん関係の公害防止管理者を選任する必要がある場合には、大気関係第1種~第4の有資格者でも可能です。
国家試験以外にも、一定の技術資格や学歴・実務経験を持っている人向けの講習を受けて取得する方法もあり、薬剤師もこのルートでいくつかの種類を取得することが可能です。国家試験以外にこの特別なルートを用意することからも、有資格者の不足・需要の高さがわかると思います。

資格概要

複数の区分あり。

[資格の種類]
公害防止管理者として以下の13種類。
大気関係第1種~第4、水質関係第1種~第4、騒音・振動関係、特定粉じん関係、一般粉じん関係、ダイオキシン類関係、公害防止主任管理者。
[取得方法]
通常は国家試験を受験。高度技術資格の一つとして認められている薬剤師は、大気関係第2種、水質関係第1種~第4、ダイオキシン類関係は講習のみで取得可能。
注意すべきは、単純に第1種が一番上で、第4種が一番下という訳ではないので、大気関係の他の種類は薬剤師でも講習では取得できない。
[難易度]
国家試験の全区分を合わせた合格率は約20%。