きたるべく薬剤師過剰時代に向けて、薬剤師免許以外の資格も取得し「ダブルライセンス」で乗りきるという選択肢もあります。
今回は、計量法に規定されている経済産業省所管の国家資格「環境計量士」をご紹介。
計量士の一つであり、理系難関資格に分類されている資格です。

環境分野で活躍できる最難関資格!

この資格は、計量器の検査、計量管理の職務をメインとして、環境に関する濃度、騒音並びに振動についての計量結果を証明するのに必要な資格です。

計量士の資格は、下記の3種類があります。


  1. 一般計量士
  2. 環境計量士(騒音・振動)
  3. 環境計量士(濃度)

一般計量士は、濃度、音圧レベル及び振動加速度レベル以外の物象の状態の量に係わる計量及び計量管理(濃度、音圧レベル及び振動加速度レベル以外)を職務とします。
具体的には、生産工場・百貨店・スーパーマーケットで使用される計量器(長さ計や質量計、体積計、温度計等)の精度管理や計量管理を行います。

環境計量士(騒音・振動)は、音圧レベル及び振動加速度レベルの計量及び計量管理に係わる職務を担当します。
騒音ではプレス、送風機等の騒音源を有する工場、建設工事、道路(自動車)、鉄道、航空機の騒音をはじめ、一般環境等の騒音を測定します。

一方、振動ではプレス、鍛造機等の振動源を有する工場、建設工事、道路(自動車)、鉄道等の人体への影響を評価するための振動を測定します。

環境計量士(濃度)は、濃度の計量及び計量管理に係わる職務を担当します。
大気では、工場から排出されるばい煙や環境大気中の有害物質、悪臭物質等の測定を行います。
他方、水質・土壌では、工場・生活排水などによる汚濁物質排出状況、河川・湖沼・海域の汚濁状況や有害物質の不適切な処理による工場跡地等土壌汚染状況の測定を行います。

計量証明を行う事業所には、その事業区分に応じた計量士を置かなければいけません。たとえば、化学物質濃度を測る事業所には環境計量士(濃度)を置かなければいけません。
計量士を置かず計量証明事業所登録をしていない事業所でも、化学分析を有料で行うことはできます。
しかし、計量証明書が発行でき依頼者の満足度が低くなることから、計量士を置く事に必死な事業所が多いです。

薬剤師におすすめなのは、「環境計量士(濃度)」

3種類の中で、環境計量士(濃度)が一番難関で取得者が相対的に少ないことから最も需要が高いので、環境計量士(濃度)を薬剤師にはおすすめします。
その難易度の高さから、環境業界では一目置かれ環境測定数値アドバイザーとして活躍できる可能性もあります。
以下は環境計量士(濃度)に限定して説明します。

薬剤師であれば取得が有利!?

国家試験を受験後、講習を受けて資格取得となります。環境計量士(濃度)は、化学をベースとした知識を元に幅広く問われます。

具体的には、以下のようになっています。


  1. 環境関係法規及び化学に関する基礎知識
  2. 化学分析概論及び濃度の計量
  3. 計量関係法規
  4. 計量概論

そのため、合格率が理系技術的資格の中ではかなり低めです。
しかし、薬剤師であれば化学に精通しているため、1.の化学知識部分、2.は既にかなりの知識がありますのでかなり有利に勉強が進みます。

また、薬剤師であれば環境計量士(濃度)の場合試験合格後の講習が免除になるので、この点でも取得自体がかなり有利となります。

資格概要

国家試験合格後に講習を受けて取得

[資格の種類]
計量士としては3種類。
環境計量士(濃度)が薬剤師にはお勧すすめ。
[取得方法]
国家試験合格後、独立行政法人産業技術総合研究所の計量研修センターが行う講習を修了して資格取得薬剤師は、環境計量士(濃度)のみに関しては講習免除。
[難易度]
国家試験合格率は例年、12~15%。