2016年の診療報酬改定によって、「かかりつけ薬剤師指導料」という項目が追加されたことで、以前より検討されていた、かかりつけ薬剤師制度が正式に開始されました。今年に入って、多くの薬局で積極的に導入する動きがさらに加速しています。その中で、手さぐりで業務を進めている方も多いと思います。また、他の薬局での導入状況はどうなのか、他の薬剤師はどのような思いを抱えているのか、といったことも気になるのではないでしょうか。
今回は、かかりつけ薬剤師となっている3名の薬剤師の方(A、B、C*敬称略)に、その現状についてインタビューしました。
―まず簡単に自己紹介をお願いします。
Aさん)大手調剤薬局チェーンに勤務しています。全国規模で情報がシェアされるので、業界の動向に敏感になれます。また、在宅にも力を入れているので、業務の幅は広いとは思います。
Bさん)地方密着型の調剤薬局に勤務しています。扱う薬や患者さんはかなり限定されますが、その反面、患者さんとはプライベートな話題でも盛り上がれるくらい、近い存在になれるという大きなメリットを感じます。
Cさん)ドラッグ併設型の調剤薬局に勤務しています。OTC薬も多数取り揃えており、セルフメディケーションの啓発活動にも力を入れています。
―かかりつけ薬剤師になろうと思ったきっかけは何ですか?
Aさん)かかりつけ薬剤師制度が始まってすぐに社内で説明会があり、説明を聞いて、その患者さんにとってオンリーワン薬剤師になれるので、とてもやりがいのある制度だと感じて、かかりつけ薬剤師になるために行動しました。大手チェーン薬局の多くの薬剤師の中で、1つ上の薬剤師になるきっかけを模索している最中だったので、ちょうど良いタイミングでした。
Bさん)私の薬局は地域密着型なので、ほとんどの患者さんは顔見知りで、その方の生活習慣や仕事内容など細かいところまできちんと把握しやすい環境です。また、検体検査を行えるようにもしています。実はこの制度が始まるだいぶ前から、『美容師さんとかは普通に指名制でいつも一緒の人が対応してくれるから相談もしやすい、薬剤師にもきちんとした指名制みたいなのができると良いわね』と、患者さんからお声をいただいていました。そのため、制度が始まると聞いたときに、待っていました、とばかりに、すぐに目指しました。
Cさん)私が勤務しているドラッグ併設型の調剤薬局では、OTCや健康食品なども多数扱っているので、これらと医療用医薬品との飲み合わせに関する相談が多いことが特徴です。医療用医薬品だけでもかなりの数ですが、OTCや健康食品なども含め、膨大な数の製品を理解しておかなければなりません。この制度が始まるときに、一人ひとりの患者さんに対して総合的な健康管理を行うために、自分の知識を活かせる良い制度だと感じて目指しました。
―実際にかかりつけ薬剤師になってみてどうですか?
Aさん)この制度自体をよく理解しておられない患者さんも結構いるな、と感じます。『こんなことをいちいち質問しても良いかわからないんだけど、他にサプリメントを飲んでいて、一緒に飲んで良いか、調べてもらうこともできるの?』という、それがかかりつけ薬剤師の本分なのに、ということを質問される方もいます。一方で、『かかりつけ薬剤師なんだから一緒に食事に行ってよ、私の食事内容も把握して欲しいし』という患者さんも稀にいます。厚生労働省や薬剤師会からだけでなく、薬剤師個人からも、かかりつけ薬剤師について患者さんにしっかりと説明することが必要かなと感じます。
Bさん)私は、日本全国の多くの薬剤師の中から、わざわざ私を信頼してくださっている、というやりがいが大きいです。以前、夜に電話がかかってきて、何かと思ったら、『今からコンビニでおにぎり買ってきて』ということもありました。しかし、こういう方はごく一部ですし、大部分は良識がある患者さんばかりです。
Cさん)制度が始まった当初は、少しでも多くの方のかかりつけ薬剤師にならなきゃいけない、とノルマのように、受け持ちの患者さんを増やすことに一生懸命になっていました。けれど、実際にやってみると、1人の薬剤師が健康管理をしっかりと行える患者数には限界があるなと感じました。多くても10人くらいだと思います。薬局の中で何名かがかかりつけ薬剤師にならなければ、患者さん側のニーズが増えてきた場合に、回らなくなるとも思います。
まだ手探りの制度?!
今回わかったように、制度自体がまだできたばかりなので、かかりつけ薬剤師の役割に関する患者さんの認識不足や、かかりつけ薬剤師が請け負える患者数の問題など、今後改善すべき点も多いのは確かです。しかし、これらの課題を解決するためにも、薬剤師がかかりつけ薬剤師になる努力をすることで、解決につながっていくように思います。



