若者の性行為離れや不妊が増えている昨今、その背景にはED(勃起障害)の増加が一因となっていると言われています。偏見からか、薬剤師を含めて医療従事者の中でも正しく理解している方は意外と少ないと思われます。男性固有の病態ですが、女性も正しく知ることが大事です。今回は薬剤師目線でEDについてみてみましょう。

そもそも正しい勃起とは?

勃起に関わる機構としては神経系と血管系の2つがあります。この2つがどちらも正常でないと勃起が正しく起きません。性的刺激によって脳が性的興奮を起こし、その刺激が神経を介してペニスにある陰茎海綿体に伝わります。それにより、cGMPが産出され、これにより陰茎海綿体の動脈が拡張して血液が流入してペニスが拡大することが正しい勃起状態となります。そして性的興奮が収まると、PDE5という酵素の働きでcGMPが分解され勃起状態が緩和されます。

また、朝、眠りから目が覚めたら勃起している夜間勃起現象(朝だち)は、必ずしも性的興奮によるものではなく、勃起に必要となる筋肉を維持するための生理現象です。使わない筋肉は衰えていきますが、これを阻止するためのメンテナンス機構という位置づけになります。

EDの種類とは?

前述した勃起機構が正常に起こらない、また起こるが弱いという状態をEDと呼びます。「たまに勃起、または性交中勃起は維持できる」という中等度EDと「勃起せずに性交不可能」という重度EDの2種類あります。つまりは、勃起に時間がかかったり、勃起しても途中でなえたりすることも含まれます。驚くことに、何と日本の成人男性の4人に1人がEDで悩んでいるというデータもあり、意外と身近な病態であると言えます。

EDの原因とは?

原因としては、I.心因性ED、II.器質性ED、III.混合性ED、IV.薬剤性EDの4つがあります。

I.心因性EDは精神的・心理的な要因により起こり、傾向としては若い方に多いものです。
II.器質性EDは身体的な要因で神経系や血管系に異常をきたすことで起こります。例えばバイク事故などでペニスを痛めてしまうなどが該当します。また、生活習慣や慢性疾患の影響によるものも含まれます。
III.混合性EDはI.心因性EDとII.器質性EDが合わさって起こるもので、比較的高齢の方に多いです。
IV.薬剤性EDは服用している薬剤の副作用で起こるもので、その薬剤を中止すると改善することもあります。

ED治療薬とは?

現在国内に正式に流通しているED治療薬としては、(1)バイアグラ®、(2)レビトラ®、(3)シアリス®の3つになります。いずれも前述したPDE5を阻害することでcGMPの分解を抑制し、勃起状態を維持するものになります。

よく勘違いしている方が多いため注意することは、脳に直接作用するものではないため、これらを服用しても性的刺激がなければ勃起が起こらないこと、また、神経系や血管系自体に異常がある場合には勃起が起こりにくいということです。

(1)バイアグラ®は世界初のED治療薬であり、歴史があるので効果と安全性への信頼が大きく、価格も安めというメリットの反面、食事の影響を受けやすいというデメリットがあります。
(2)レビトラ®は食事の影響を受けにくく、また作用発現が早いというメリットの反面、価格が高めであるというデメリットがあります。
(3)シアリス®に関しては一番新しく登場したもので、食事の影響を受けない、かつ作用時間が長い(36時間ほど)というメリットがある反面、やはり価格が高めであるというデメリットがあります。
いずれの治療薬とも、今はジェネリック医薬品が発売されており、価格は抑えられるようになりました。

また、(1)だけでなくどれも空腹時に飲んだほうが効果は出やすく、少量のお酒となら併用可能である点も覚えておきましょう。そして、元々血管拡張薬として臨床試験を行っている最中に勃起を維持する効果が見つかりED治療薬に転換された薬剤なため、血管拡張薬である硝酸薬とは併用禁忌になります。高血圧や不整脈などの治療薬を服用している方だと併用注意になります。
ED治療薬を処方される際に患者さんには飲んでいる薬を必ず伝えてもらうようにすることが必要です。加えて、これらの薬が効かないというED患者さんの場合には、外科的措置が必要になることが考えられるため、泌尿器科の受診を進めることが必要になります。

ED治療薬を院内処方してくれる専門のクリニックも増えてきていて、そのようなクリニックは男性スタッフだけを配置しているところが多いため、以前よりも入手のハードルが下がってきましたが、その分併用薬の注意が必要になる方も増えてきていると思われます。いつも薬局に生活習慣病の薬をもらいに来る患者さんの服薬指導中に、専門のクリニックで処方されたED治療薬を飲み始めたことを知るなどの事例が増えてきています。薬剤師としては、その際にED治療薬についてもきちんと確認する必要があります。EDについてなかなか勉強する機会はありませんが、男女問わずきちんと把握しておきたいものです。ぜひ薬剤師側からきちんと説明できるように勉強してみてください。

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