スキルアップのための資格取得シリーズ、今回は「介護支援専門員(ケアマネジャー;以下、ケアマネ)」を紹介します。超高齢社会の中で、薬剤師にも介護分野の知識が求められてきています。国家資格ではなく都道府県が行う公的資格ではあるものの、介護の分野で言わばリーダー的存在であるのがこの資格。薬剤師で取得している人はまだ少ないのが現状ですが、薬剤師であれば有利に取得できます。

ケアマネとはどのような業務を担う資格??

 ケアマネとは主に、居宅介護支援事業所、介護予防支援事業所、介護保険施設、グループホームなどに所属し、介護保険制度においてケマネジメントを行う有資格者です。具体的には、要支援・要介護認定を受けた方やその家族に対して、どのような介護サービスを希望するかの面接を行い、必要な介護サービスを査定した後、介護保険が利用できるような介護サービスの個別ケアプランを作成します。ケアサービス提供後も適切に行われているかを定期的に評価して、要介護者や介護者の状況を加味し、再査定の後にプランの改定を行います。また、他の介護サービス事業者との連絡や調製などの取りまとめを行います。

 ケアマネは介護分野に欠かせない需要の高い資格です。薬剤師が取得することで、現場で特に問題となっている残薬管理や、薬の服用過誤を防ぐためのリーダーとしての活躍が期待されます。

 では、実際にはどんな取得内容なのでしょうか。

ケアマネの資格取得方法と受験条件

 介護支援専門員として登録や任用されるためには、まずは都道府県が行う「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格した後、「介護支援専門員実務研修」の全日程を受講した上で、レポートを提出することが必要となります。この実務研修は欠席が許されず、必ず全部を完遂しなければいけない厳しいものです。それらを無事にクリアした後に無事に登録を受ければ介護支援専門員証が交付されます。しかしこれで永久ライセンス取得という訳ではなく、5年ごとに資格の更新が必要と、取得後も継続的な研鑽を要求される結構骨の折れる資格ではあります。加えて、はじめに受ける介護支援専門員実務研修受講試験にも条件があり、通常は所定の福祉施設などでの相談援助・介護などに10年以上従事している必要があります。

 難易度の面からみてみると、介護現場経験10年以上といえばそれなりのベテランで、知識や技能を有していると思われますが、最近の合格率は約15~20%で推移しています。簡単な試験とは言えませんが、薬剤師の場合にはどうなるでしょうか。

薬剤師として薬局や病院での実務経験があれば有利に!!

 前述した通り、始めの試験を受験するためには、通常は所定の福祉施設などでの実務経験が10年以上必要です。しかし、医療や介護に関する法定資格所持者は半分の5年以上の実務経験で受験可能になります。この法定資格にはもちろん薬剤師も含まれています。しかも、この実務経験は福祉施設などの介護経験でなくてもよく、いわゆる病院や薬局での普通の薬剤師としての経験で良いのです。薬剤師として実務を5年積めば受験可能なため、かなり有利と言えます。実は薬局薬剤師の多くが、もうすでに受験資格を満たしているのです。

 今後薬局も在宅医療を手がけるところが増えていくと考えられます。そういった点からも、介護現場でリーダーとなりうるこのケアマネを持っていればかなりプラスになるでしょう。積極的に取得を考えてみてはいかがでしょうか。