色々な感染症が話題となっている昨今、予防接種の種類も増加しています。
予防接種も異物を体内に投与するという意味では、医薬品の投与と同じ側面を持っています。
海外では薬剤師が予防接種を行う国もあります。
将来的には、日本においても薬剤師が予防接種を行う時代が来るかもしれません。
薬剤師としては知っておきたい予防接種の現状を紹介したいと思います。
ワクチンの種類を復習してみよう!
薬学部で習ったように、ワクチンの種類は、不活化ワクチン、トキソイド、生ワクチンの3つに分類されます。
不活化ワクチンは、細菌やウイルスといった病原体をホルマリンなどの薬品で不活化して殺して製造したものです。
死んでいるので体内に打ち込んでも微生物自体が増えることはありません。
インフルエンザワクチンなどがこれに該当します。
さらに不活化ワクチンには、病原体丸ごと用いた全菌体ワクチンと、病原体を壊して免疫に必要な部分だけを取り出した成分ワクチンの2種類に分けられます。
トキソイドは、細菌が産生して菌体外へと放出する外毒素を精製して、ホルマリンなどで無毒化したものです。
トキソイドも体の中で増えることはありません。
破傷風トキソイドなどがこれにあたります。
生ワクチンは、毒力が強い病原体を動物や人工培地などで長期間人工的に増やして毒力が弱いものに変化させたものです。
これは弱毒化されたものとはいえ、生きた微生物を含むので、弱毒化された微生物が体の中で増えます。
風疹ワクチンなどがこの種類に分類されます。
また、前述の分類とは別の見方をすると、1種類の病原体に体する単抗原ワクチンの他、近年では、複数の病原体に同時に免疫を獲得させる混合ワクチンも多く登場してきています。
代表的なのとしては、麻疹・風疹混合ワクチン(MR)などが挙げられます。
日本における予防接種の現状とは!?
日本では法律によって、定期接種のものと、任意接種のものとに分けられます。
さらに、定期接種のワクチンは、病気の発生と蔓延を予防することを目的としたA類(旧1類)と、主に個人の発病と重症化を防止するためのB類(旧2類)の2つに分類されます。
A類の例としては、インフルエンザb型ワクチン(Hib)、BCGワクチン、不活化ポリオワクチン、日本脳炎ワクチンなどがあります。
B類の例としては、高齢者が対象のインフルエンザワクチン、肺炎球菌多糖体ワクチンなどがあります。
任意接種のものは、おたふく風邪ワクチン、A型肝炎ワクチン、狂犬病ワクチンなどです。
海外旅行の際に必要なこととは!?
アジア・アフリカ・南米諸国においては、A型・B型肝炎、狂犬病、腸チフスの流行が共通してみられる他、アフリカでは髄膜炎菌感染症が、アフリカと南米では黄熱が、アジア地域では、日本脳炎が各々流行しています。
一方、西欧・北米諸国では輸入食材を介したA型肝炎が報告されていたり、アラスカ・カナダ北部ではB型肝炎の発生率が高くなっています。
これらの地域へ行く際には各々に対応したワクチンを接種していくのが良いです。
特に、小児の場合には、日本で推奨されているすべてのワクチンを接種することが基本です。
他にもまだまだあります。
海外旅行へ行く方も増えている昨今ですので、薬剤師であればより積極的に勉強してみてください。