腰が痛い、肩が痛いなど、様々な部位に痛みを抱えている方は少なくありません。そんなとき、胃への負担を考えて飲み薬は控えたいという方は、外用薬での対処になるかと思います。今はOTC外用薬の種類も豊富になっており、様々な要望に応えられるようになってきています。
今回は多様な患者さんの要望に応えられるよう、痛みに関するOTC外用薬について確認してみましょう。

外用薬で対応できる痛みの種類とは?

痛みは大きく分けると、侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛の2種類あります。侵害受容性疼痛は、体性痛と内臓痛とに分けられます。体性痛は皮膚、骨、関節、筋肉といった体性組織に発生する痛み、内臓痛は食道、胃、肝臓などのいわゆる臓器に発生する痛みです。一方、神経障害性疼痛は、神経の圧迫や断裂によって発生する痛みです。
主に外用薬で対処できるのは体性痛ですが、ここで注意があります。それは、痛みを訴る患者さんに外用薬を選ぶときは、その痛みが本当に体性痛なのかという見極めをきちんと行うことです。例えば、患者さんが「筋肉痛がある」と訴えていても、実は内臓痛や神経障害性疼痛である場合もあります。

痛みの種類を見極めよう!!

痛みの種類を見極める際のポイントを確認しましょう。目安ではありますが、体性痛の場合は痛みのある局所が明確で、体を動かすと痛みが増幅する傾向があります。内臓痛の場合は、ぎゅっとしぼられる、または、押されるような痛みで、局所が明確ではない傾向がみられます。加えて、嘔吐や発汗などを伴うことも多いです。痛みだけでなく痛む部位周辺にしびれを伴い、電気が走るような激しい痛みの場合は、神経障害性疼痛の可能性が大きいです。
患者さんの痛みが体性痛以外であれば、内服の鎮痛薬をすすめましょう。また、内臓痛や神経障害性疼痛はがんに付随することも多い痛みですので、いくら患者さんが外用薬で対処したいと希望しても、きちんと受診をすすめましょう。痛みが複数にまたがる場合も、とりあえず外用薬を使用してもらい、痛みを抑えてもらった上で、受診勧告しましょう。

商品選択のポイントは剤形・成分・匂い

外用薬にはローションやテープなど、様々な剤形がありますが、患者さんの好みや体質に応じた製品をおすすめしましょう。かぶれやすい方にはゲルやクリームなどの塗り薬系を、ベタベタした感じが苦手な方にはローションタイプを、ある程度効果を持続させたい方ならテープやパップを選びます。
一昔前のOTC外用薬では、インドメタシンやサリチル酸メチルなど、比較的弱い成分を中心とした商品が多い傾向にありました。しかし、近年のスイッチOTC化促進の中で、ロキソプロフェン(ロキソニン®S外用薬シリーズ)やジクロフェナク(イブ®アウターシリーズ)といった、強めの成分を含んだものが商品化され、痛みのコントロールがしやすくなってきています。
剤形や成分のほかに、OTC外用薬を患者さんにおすすめするときには、匂いにも注意したいところです。スーッとした清涼感で痛みが取れたように感じられることから、外用薬の中にはメントールなどを含んでいる商品があります。メントールの独特な匂いが周りに不快感を与えないか心配する患者さんもおり、無視できません。患者さんが匂いを気にしている場合は、アンメルツ®シリーズの「アンメルツ®ほぐタイムマッサージ乳液」など、匂いが抑えられているOTCをおすすめするとよいでしょう。この製品はリラッスクハーブを含んでいるほか、乳液タイプということも特徴として挙げられます。手に出して患部をマッサージしながら塗ることができます。いつも使っている化粧水や乳液などとも併用しやすいため、女性も利用しやすいでしょう。

上記のような特徴のある様々な商品もぜひ覚えておいて、患者さんの痛み以外のニーズも汲み取り、適切に選んであげられるようにしてください。