近年、医薬品の剤形に関してはバラエティーに富んだラインナップになっていて、どんな患者さんにも適応できる形のものが増えてきています。そんな中、昔から一番使用されているのはやはり錠剤です。錠剤にもいろいろな種類がありますが、それぞれに実は深い意味があるのです。今回はこの視点から見ていきましょう。
錠剤がなぜメインの剤形なのか?
医薬品と言えば医療関係者だけでなく、一般の方の多くが、やはり錠剤を思い浮かべると思います。錠剤がメインとなっているのは、やはりその便利さにあると言えます。散剤は多くの水を必要としますし、保存性もあまり良くないです。液剤に関しては、そもそも水分を多く含んでいるので、保存性が一番良くないものです。錠剤に近いものでカプセル剤がありますが、高温で溶けてしまうだけでなく、持ち歩くと破裂しやすいという特徴があります。なお、注射剤は確かに吸収という点ではかなり優れていますが、一部糖尿病の注射剤などを除き、そもそも自分では使いにくいもので、医療関係者の手が必要となります。ほかの剤形のものが持つこれらの点から、錠剤が一番身近なものとなってきたわけです。
錠剤のメリットとしては、PTPシートに入っている状態ならば清潔な場外で比較的長持ちしますし、効果のタイミングの調整もしやすいです。
また、製薬企業から見た利点としては、ほかの剤形よりも製造しやすいというメリットがあります。もちろん、錠剤も万能ではなく、時にはほかの剤形のものが適しているという場合もあるにはありますが、やはり錠剤が多くの方にとってはメインとなるということは言えると思います。
錠剤の形にもいろいろとある?
錠剤の外見にもいろいろなものがあります。一番メインなのは丸形です。これが最も古典的なものになります。単純に製造が簡単なので大量生産向きです。また、少量成分のものに適しています。実務的な利点としては、PTPシートから出しても崩れにくいので、一包化に向いています。
また、最近増えているものとしては、楕円形のものです。この利点としては、食道通過性が良く喉につまりにくいので高齢者でも飲みやすいです(人間の喉の構造的に縦方向に流れやすい)。実際の例としては、アセトアミノフェン系の錠剤でこのメリットが活かされています。アセトアミノフェン系の医薬品はアセトアミノフェンの量が多くなりがちで、それに伴い錠剤が大きくなる傾向にあります。丸形にすると飲みにくいため、楕円形を採用しているというわけです。
また、以前取り上げたOD錠というものもありますし、徐放錠(多層構造になっていてゆっくりと溶ける構造になっている)、腸溶錠(胃酸で分解されないようになっている)というものもあります。
錠剤に入っているラインの意味とは?
ライン入りの錠剤も最近ではよく見かけるようになったと思います。これは錠剤の真ん中に引かれているので確認しやすいと思います。このタイプの錠剤によっては、真ん中の線のところがへこんでいるものもあります。
この錠剤の一番の利点としては、半分に割りやすいという点です。錠剤全般を割る用のハサミや機器もあるため、もちろん大半の錠剤は割れるのですが、真ん中にラインがあるものは、スプーンの盛り上がっている部分に乗せて軽く上から押せば簡単に、かつ、ハサミなどで割るよりもきれいに割れるので、現場の薬剤師的には、半錠にしたいときにはとてもありがたいものです。
ライン入りの錠剤の特徴としては、効果の個人差が大きい成分のもの、徐々に減らすような療法の成分のものに多いという点です。加えて、目が悪い方や高齢者の方が錠剤の識別をしたい際に、「ラインがある方を上にする」という方法によって容易に判別ができるというメリットもあります。
なぜライン入りにあえてしない医薬品もあるのか?
ライン入りにできない医薬品が実はあります。前述したように割れやすいという特徴がデメリットになるものに関してはライン入りのものは存在しません。万が一割れてしまったら本来の効能効果が発揮できなくなるからです。
どういうものがあるかというと、前述した徐放錠、腸溶錠などがそれに該当します。これらはむしろ割れてしまった場合には本来の正しい役目が発揮されないので注意が必要です。
なお、応用としては、例えば、「朝のものはラインなし、夜のものはライン入り」という感じで分けることで、患者さんの飲み間違い防止につながったりもしますので、高齢者施設などにおいて、医師・薬剤師の判断によってそのような感じで錠剤を用意するという場合もあります。
剤形に関してはもちろん、薬剤師にとっては常識かもしれませんが、在宅医療推進の時代の中では、再度復習しておきたいところです。ぜひ覚えておいてください。
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