サプリ・トクホを扱う時に必要なことは!?
公開日:
サプリメント(通称:サプリ)や特定保健用食品(通称:トクホ)の種類やエビデンスも日々増えてきている現在、医薬品の相談とともにこれらの相談に応じる機会が増えてきたと思います。
これらの説明は医薬品とはまた少し違った難しさがあると思います。
今回はいくつかの相談事例をもとにして答え方を紹介したいと思います。
【1】ビタミンAの事例
「妊娠・出産を控えている女性」の場合
貧血気味なので鶏や豚のレバーを心がけて食べていますが、体力をつけるために総合ビタミンサプリを取ろうと思っていますがどうでしょうか?
ビタミンAは脂溶性ビタミンですので、たくさんとった場合には尿からは排出されにくく、組織にたまっていきます。
妊婦や乳幼児にとって必須なのは確かですが、ここで注意するのが過剰症です(健常人では欠乏症になることはほとんどありません)。
吐き気、頭痛などといった症状が一般的ですが、妊婦特有の過剰症として催奇形性があることを忘れてはいけません。
今回の事例で登場するレバーには鉄分の他に多くのビタミンAが含まれています。
積極的に食品から摂取している状態ですので、総合ビタミンサプリを取る際にはビタミンAが入っていないものをおすすめして、「過剰症に気をつけてください」と説明するのが良いです。
【2】コエンザイムQ10の事例
「脂質異常症治療薬を飲んでいる患者さん」の場合
最近話題のコエンザイムQ10が生活習慣病や肌の老化に良いと飲もうと思うのですがどうでしょうか?
コエンザイムQ10は一般名「ユビデカレノン」という脂溶性ビタミン様物質です。
この「ユビデカレノン」は1970年代に日本ではうっ血性心不全治療薬として承認されました。
1990年代には、ビタミンB2とビタミンEを配合した「ユビデカレノン」がスイッチOTCで販売されるようになります。
軽度な心疾患によって起こる日常生活の活動が少し過剰になった時におこる症状(動悸、息切れなど)の緩和薬でした。
そして21世紀に入ると、厚生労働省により食薬区分リストが改正され、コエンザイムQ10をサプリメントとして販売できるようになりました。
さらに、化粧品への添加も認められました。
こういった歴史を知っていると、生活習慣病治療薬との併用には慎重になるべきということがわかります。
スタチン系の脂質異常症治療薬はコレステロール合成阻害に加えて、コエンザイムQ10の合成量も下げるので確かに補給は大事です。
また、スタチン系による横紋筋融解症の原因として、このコエンザイムQ10の不足ではないかとも考えられていますので、欧米諸国では積極的に併用するように勧められています。
ただ、その患者さんの病態によっても変わってきますので、コエンザイムQ10摂取には主治医の了解を得るべきです。
また、脂溶性ですので、食後に取ったほうが吸収が良いことも添えると良いでしょう。
サプリ・トクホを扱う時に必要なことは!?
今回の事例からわかることは、サプリ・トクホの増加で、栄養学の知識が、特に分子レベルでの深い栄養学の理解が必要なことがわかります。
近年、管理栄養士を積極的に採用する薬局・ドラッグストアが増えていることからもわかると思います。
薬剤師レベルの栄養学知識で不安な時には、栄養のプロの管理栄養士と積極的にコラボするのが得策かもしれません。是非皆さんも他のサプリ・トクホの事例と対策を考えてみてください。