ご存知の「強力わかもと」は昔から広く使われていてとても有名な総合胃腸薬です。
今でもどこの薬局やドラッグストアでも容易に見つけることができます。
「家庭薬ロングセラーの秘密(薬事日報社)」を参考に、これに隠された歴史を紹介します。

栄養状態の悪かった以前の日本が発端となった!?

「強力わかもと」はもともと「わかもと」という名前でした。
ちょうどこれが作られた大正から昭和初期にかけて、日本においては国民の栄養状態が危機的に悪い状態が続いていました。
かといって、ビタミンの研究が開始されたばかりの時勢でしたので、当然ビタミンの構造や詳しい機能についても未知でした。

そんな中、国民の栄養向上を志向した米胚芽と酵母菌の活発な研究により、ビタミンや消化酵素が発見されていきました。
これらの発見の中で、ビール酵母はビタミン、ミネラルなどを豊富に含むことがわかってきて注目が集まり、同じくビタミン、ミネラルなどを豊富に含む米胚芽の有効成分を加えて製剤化するに至りました。
これをきっかけに、1929年、「栄養と育児の会」という名の会社が起こされ、若さの素、「若素」という新しい栄養剤が発売されました。

食生活の変化に対応した進化を遂げてきた!?

食生活がちょうど激しく変化する時代背景に合わせて、その後も成分の改良を重ねていくことを怠りませんでした。
まず、独自に開発した麹菌や乳酸菌を配合するようになり、消化作用と整腸作用を高めることに成功しました。

その後、1960年代に入り、インスタント食品の増加や偏食によって偏りがちな食生活が日本人の中で徐々に広がっていったのを考慮し、ビタミンB1・B2やニコチン酸アミドを補強し、乳酸菌数も大幅に増量した製品を開発しました。

これが、現在でも販売されている、成分を強化したということから名付けられた「強力わかもと」です。
さらに2008年には、粉状のも出して欲しいというニーズに答える形で、「顆粒わかもと」を販売開始しています。

家族で愛用できる「元気になるサプリメント」としてイメージを確立!

製品発売当初より、積極的な宣伝・普及活動を展開してきました。
育児用書籍や小冊子、漫画などを製作して薬局や小学校に配布したりする中で、イラスト入りで暮らしの知恵を盛り込みました。
これがわかりやすいとの評判がたち、多くの年代からの支持を集めるようになっていきました。
筆者の実家にも昔から常備されていて、小さい頃から家族みんなで飲んできました。

また、製造会社の「わかもと製薬株式会社」のシンボルマークである砲丸投げのマークにもユニークな歴史があります。
外国映画をこよなく愛していた創業者が、ある日ふと映画で目にした砲丸投げのシーンから感じる力強さや健康的肉体美を大変気に入り、商品のイメージにぴったりだとしてシンボルマークに決めたそうです。
今でも変わらないあの独特の味とにおいは当初からずっと天然成分だけにこだわってきた証拠だと言えます。
これからも日本人の栄養と健康を力強く支えていってくれるそんな薬であって欲しいですね。是非知っておいてください。