きたるべく薬剤師過剰時代に向けて、薬剤師免許以外の資格も取得し「ダブルライセンス」で乗りきるという選択肢もあります。
今回は、船員法に規定されている国土交通省管轄の国家資格「船舶に乗り組む衛生管理者(以下、船舶衛生管理者)」をご紹介。
重要な資格ですが知らないことが多い資格です。

どんな資格?

海に囲まれている日本において、古来より漁業が重要な産業として発展してきました。
陸地に比べて怪我の発生確率が高い、また病気になっても陸地にはすぐには戻れないという状況も多々あり、船上での衛生管理は特に重要と考えられてきました。

海に囲まれている島国の日本では重要な資格!

労働安全衛生法の衛生管理者とは別に、船用の衛生管理者が用意されているのもこのためです。
大規模の船ですと、緊急時に備えて船舶医が置かれていますが、小さい船で、船舶医を置くまでもない場合には、この船舶衛生管理者の出番となります。
船員の健康管理や保健指導の他、作業環境衛生、居住環境衛生、食料などの衛生保持などを行います。

何に役立つ?

船舶衛生管理者という名前の免許があるわけでなく、「衛生管理者適任証書」が国土交通大臣より与えられ、これを持っている者のなから、船舶所有者が船舶衛生管理者として選任します。
普通の衛生管理者との決定的な違いとしては、船舶衛生管理者は、船舶の航行中に、薬剤投与、注射、傷口の縫合などの医療行為が部分的に許可されている点です。

漁業においての保健衛生に関するスペシャリスト

船上限定ではありますが、薬剤師が陸地では認められない医療行為が認められるようになります。
薬剤師は薬に関してはプロですので、これらの医療行為が出来るようになると船上の衛生管理全般のスペシャリストとして認められると思います。

船舶事業や漁業は今の日本においても盛んな産業ですし、決してなくなることはありません。
この資格を持っていると海上関係の仕事における衛生管理のスペシャリストとして転職時に有利になります。

実際に、船舶医を確保できない小規模な船舶も意外と多いと聞きますし、船の上では薬や食料の管理が最も求められると聞きます。
そういった点でも薬剤師保持者が船舶衛生管理者になれば特に有利ではないかと考えられます。
調剤以外に進みたい方、また、日本において重要な漁業産業で衛生のプロを目指そうと思う方は特におすすめです。

資格概要

申請だけで取得可能

[資格の種類]
衛生管理者適任証書を持っている者の中から船舶衛生管理者が選任。
[取得方法]
通常は国土交通大臣が執行する試験を受けて合格するが、薬剤師であれば国土交通大臣への申請だけで衛生管理者適任証書を取得可能。
薬剤師でなくても、薬学部を卒業した薬学士であれば同様に申請のみで取得可能。
受付窓口は地方運輸局など。
[難易度]
薬剤師は申請により100%取得可能