きたるべく薬剤師過剰時代に向けて、薬剤師免許以外の資格も取得し「ダブルライセンス」で乗りきるという選択肢もあります。
今回は、労働安全衛生法に規定されている厚生労働省管轄の国家資格「衛生管理者」をご紹介。

どんな資格?

昨今、ブラック企業やサービス残業といった労働問題がテレビや雑誌などで特集されているのを目にする機会が増えました。
テレビドラマの題材に労働環境の善し悪しがなるくらいの社会的なテーマです。
その証拠に、激務の連続で身体の調子を壊してしまったとか、うつ状態に陥ってしまったという患者さんが病院や薬局に来るというケースも以前より増えています。

最近話題の労働問題のスペシャリストだと見なされる

労働に関わる法律の最も大事なものはもちろん、賃金や解雇などを規定した労働基準法ですが、実は昨今注目を集めていています。
さらに、薬剤師であれば把握しておかなければいけないのが、もう一つの労働法である労働安全衛生法です。

何故かというと、いくら相応の賃金や休暇をもらっても、働いている労働環境の衛生状態が劣悪だと、お金にはかえることができない健康を害する危険性が増えてしまうからです。
それを防止するのが労働衛生法です。
薬剤師はもちろん健康のプロですが、この資格を付随することで、労働衛生のプロとしても積極的に患者さんに意見を言えるようになります。

何に役立つ?

すべての業種において、常時50人以上の労働者を使用する事業場に1人置かなければいけないのがこの資格です。
さらに、200人以上では2人以上、500人を超えると3人、1000人を超えると4人、2000人を超えると5人、3000人を超えると6人以上置かなければ行けないと決められています。

一定規模以上の事業場では必ず必要

この国家試験は、各事業場で労働衛生に携わっている社員が取得するのが通常ですが、実務経験がネックになり、まだまだ企業によっては足りていないのが現状です。
薬剤師免許を持っていれば申請するだけで取れます。どの事業場にも労働者の健康管理部門がありますので、転職時に持っていると有利です。
調剤以外も視野にいれたいという方には特におすすめです。

資格概要

3種類の免許があります

[資格の種類]
衛生管理者の選任を受ける範囲の広い順に、衛生工学衛生管理者免許>第一種衛生管理者免許>第二種衛生管理者免許の3種。
そのうち、危険を伴う工業的職種で衛生管理者になれるのは第一種衛生管理者免許者以上。
さらに、1000人を超える(一定の業種では500人を超える)事業場においては、衛生管理者のうち一人は衛生工学衛生管理者免許者から選任しなければならない。
仕事内容は、少なくとも毎週1回の作業所等巡視、労働者の健康傷害防止など、事業者に対して衛生に関する措置を取らせるようにする権限が付与される。
健康知識に関してプロである薬剤師は、さらに専門的なアプローチができて重宝されます。
[取得方法]
通常は、一定の実務経験を積んだ上で国家試験を受けて取得。
薬剤師は第一種衛生管理者免許の申請のみで取得可能。
衛生工学衛生管理者免許は講習のみで取得可能。
通常は全国の安全衛生サービスセンターなどで5日間の講習と終了試験。
免許申請は都道府県労働局。
まだまだ不足している資格ですので、一般的な業種なら衛生管理者免許だけで充分重宝されますが、必要に応じて、衛生工学衛生管理者免許も視野に入れると良いと思います。
[難易度]
薬剤師は申請により100%取得可能