最近、さまざまな場面で、SDGsという言葉を見かけるようになりました。SDGsの達成のためには、一人一人が意識的に行動することが重要です。今回は、薬剤師としてSDGsに貢献すべきことについて見ていきたいと思います。
そもそもSDGsって何?
一般的にSDGsと書いて、「エスディージーズ」と読みますが、「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語に直すと、「持続可能な開発目標」という意味になります。持続可能なより良い世界を目指そうという国際的な目標で、期間は2016年〜2030年の間と設定されています。
あまり知られていないですが、2015年まではMDGs(日本語に直すとミレニアム開発目標)という、主に発展途上国をターゲットにした開発目標が存在していました。MDGsの期限を迎えた2015年9月の国連サミットで「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が新たに採択され、その中で、発展途上国だけでなく先進国まで含めたあらゆる国を対象としたSDGsが新たに掲げられました。
MDGsでは、8のゴールと21のターゲットが規定されていましたが、SDGsではさらに拡大され、17のゴールと169のターゲット、231の指標が規定されています。
薬剤師に関係するSDGsを意識してみよう!
SDGsにおける17のゴールに対して、推進のための方針や取り組み内容をWebサイトで明示したり、商品に明示したりする企業が増えています。日常でも、ラベルレスのペットボトルが販売されていたり、提供されたドリンクのストローが紙製だったりと、何か変化を感じたことがあるのではないでしょうか。
薬剤師の働く場所である薬局やドラッグストアでもSDGsに取り組んでいます。薬局やドラッグストアのSDGsへの取り組みの例を見てみましょう。
「(3)すべての人に健康と福祉を」
・処方箋を持っていない方でも気軽に薬局へ相談できる環境を整えるべく、地域の方が誰でも参加できるような健康セミナーの開催
・いつでも誰でもアクセスできる、質の高い医療・ヘルスケアの提供
「(4)質の高い教育をみんなに」
・小中学生に向けた薬物乱用防止教室やドーピング防止教室などの開催
「(5)ジェンダー平等を実現しよう」
・育休や時短勤務の充実
「(7)エネルギーをみんなにそしてクリーンに」
・照明のLEDへの切り替え
・太陽光発電パネルの設置
「(8)働きがいも経済成長も」
・障がい者雇用の促進
・従業員満足度の高い働き方改革
「(9)産業と技術革新の基礎をつくろう」
・医療のデジタルトランスフォーメーション推進
「(11)住み続けられるまちづくりを」
・災害時に避難所などで必要な医薬品を供給できるような仕組みの構築
「(13)気候変動に具体的な対策を」
・環境に配慮したプライベートブランド商品の開発
・環境に配慮した商品の積極的販売
地域の薬局だからこそ、健康セミナーや災害対策への貢献ができますね。そして、プライベートブランド商品の開発や陳列する商品を環境に配慮した商品にすることなどは、ドラッグストアだからこそ貢献できるSDGsだと思います。
そして、今後の多様化社会の中で最も大事ではないかと筆者が感じるのは「(17)パートナーシップで目標を達成しよう」です。これまで以上に、1つの組織だけでは高度医療を提供できない時代になると予想されているからです。医療機関同士、各々得意な分野で助け合うという意識改革が必要となるでしょう。薬剤師も一人一人得意なことが違うのは当然ですので、得意分野が異なる薬剤師同士の連携が重要です。
1人で推進できることばかりではありませんが、SDGsを推進している企業やその企業の商品を選ぶということも、SDGsを推進しているといえるでしょう。
薬剤師の皆さんも、ぜひ一度ご自身で17のゴールを確認いただき、自分にできることを考えてみてください。
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