小児の患者さんに処方されることが多い粉薬。なかなか飲んでくれなくて困るという事例は多いです。大人になっても粉薬は何か苦手という方も少なからずいらっしゃいます。今回は粉薬を飲みやすくする方法をご紹介します。

粉薬を飲みやすくする王道の方法とは?

粉薬が飲めないという相談をされた際にどうすればよいでしょうか?対処法としては3つ考えられます。
まずは正しい飲み方をしているかを確認しましょう。先に口腔内に粉薬を入れてから水で流し込むという方が意外と多いのですが、実は逆で、先に水を口に含ませておいてそこに粉薬を流し込み、一気に飲み込んだ後に、水をさらに飲むというのが一番基本的な飲み方になります。

そして、なかなか気がつかないのですが、次の対処法としては処方医に問い合わせを行い、同じ成分や類似成分の錠剤や液剤への変更を提案することです。その際に、薬剤師側で、処方されている粉薬の用法用量と一致する他の剤形の量をあらかじめ計算しておくと処方医もスムーズに変更することができます。ただ、体重の関係で錠剤は不可能な場合や、そもそも粉薬しか存在しない場合などには、粉薬を飲んでもらうことになります。

最後の選択肢としては、オブラートやカプセルを使用する方法になります。オブラートに関しては、以前はシート状のものばかりでしたが、近年は筒状のものや、甘い味がついているものなど色々な種類のものが出てきました。ただ、どうしても大きくなってしまったり、飲み込む際にオブラート自体が喉にくっついてしまったりするという難点もあります。一方、カプセルに関しては、サイズも色々とありますが、カプセルの形状によって容量に限界があり、粉薬の量が多い場合には大量のカプセルが必要になってしまうという難点もあります。最近では薬を飲みやすくするための服薬ゼリーもいくつか販売されているため、それも試すと良いかもしれません。ただ、長期で飲む薬の場合には、服薬ゼリーを購入するコストがかさむという点には注意が必要になってきます。

普段飲食しているものでも可能?

常食・常飲している嗜好品と一緒に飲むと飲みやすいこともありますが、いくつか注意も必要です。

患者さんから何と混ぜたらいいかと聞かれて、アイスクリームを例に出すことが多いかと思います。確かに、アイスクリームは比較的多くの粉薬と相性が良いですが、注意すべきものもあります。メイアクトMS細粒®、バナンドライシロップ®、ケフラール細粒®など一部の抗生剤では、混ぜるアイスクリームによっては相性が悪く、味が悪くなってしまうことが報告されています。
また、タミフルドライシロップ®でもアイスクリームによっては相性悪いことがわかっていますが、チョコアイスだけは例外で相性が良いため、患者さんに勧める場合は、チョコアイスが良いと思われます。

ただし、咳や下痢がひどい時は、アイスクリームで体が冷えてしまい、咳や下痢が悪化してしまうこともあるため注意が必要です。こういう時には白湯や温かいミルクなどと一緒に混ぜるのが良いですが、抗生剤による下痢予防の目的で、抗生剤と一緒に処方されることが多いビオフェルミンR散®を一緒に飲む時には、約40度で肝心の乳酸菌が死滅してしまうため、きちんと冷ましてからが良いです。

特殊な粉薬として漢方薬の散剤がありますが、これについては、元々がとても苦いため何と一緒に飲むかが難しくなります。漢方薬の散剤はインスタントコーヒーのようにお湯に溶かして服用すると吸収がよくなると言われていますが、苦みが一番際立つのも確かなので苦手になってしまう人も多いです。漢方薬の場合にはカカオの濃度が高く苦めなチョコレートを溶かし、それに混ぜてスプーンですくって飲むと苦みがマスキングされて比較的飲みやすいと思います。

粉薬が飲めないという方は意外と多いと感じます。そしてどうやって飲むかによっては効果が出にくかったり、また、何と飲むかによって薬自体の性質が変わってしまったりするため、注意が必要となります。薬剤師として薬の効果を落とさないまま飲みやすくする方法を患者さんに提供できるよう、ぜひ色々と調べてみてください。

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