2013年11月27日「薬事法等の一部を改正する法律」が成立し、2014年1月25日から施行されたことに伴い、薬事法が改正され名前も「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称、医薬品医療機器等法)」に変わりました。
薬剤師にとっては最重要な法律であり、一番理解しておかなければいけないものです。
今回の改正は特に、今後薬剤師が積極的に身につけなければいけない知識を含んでいて、今後生き残っていける薬剤師になるためのヒントが隠されています。
今回は重要な改正点を紹介します。

法律の改正は時代をうつす鏡!?

法律の改正は時代の流れを反映していて、裏を返すと今の流行や今後の動向などがわかります。そして国がどういったことを期待しているのか、どういったことに力をいれようとしているのかも理解できますので、改正点の理解は重要です。

まずはその目的を読んでみると「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医療品及び医療機器の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ること」ということになっています。

ここで重要なのは、「再生医療等製品」と「研究開発の促進」の二つの部分です。

あらゆる組織になることが可能なES細胞やiPS細胞から作られた組織を「再生医療等製品」と新たに位置づけ、的確かつ安全に再生医療の応用を推し進めることで、臨床の現場に少しでも早く届けようという意図があります。
また、iPS細胞はご存知のように京都大学の山中先生が開発したメイドインジャパンのもので、ノーベル賞をとるくらいの画期的なものでもあります。
つまりこの部分は、再生医療の臨床応用を日本がリーダーシップをとって世界へと発信していこうという動きが加速している中での、特徴的な改正点でもあります。
再生医療に関する最先端の知識は、薬剤師としても今後身につけていくべきかと思います。

他方、日本は欧米諸国と比べて、医療・バイオ系の研究開発は遅れています。
それによって新薬も生まれにくくなってきているという現実もあります。
国としてメスを入れて、臨床的に意義のある研究開発を推進しようという意図も理解できます。
現に、2015年4月には、日本版NIHと呼ばれる新しい機関「日本医療研究開発機構」が設立され、医療系研究予算の動きを円滑にするような動きもあります。
研究に従事する薬剤師であればチャンスが広がるでしょうし、研究に関わらない薬剤師であってもこれまで以上にバイオ研究についての知識は必須になってくると思います。

もう一つの大事な改正点は!?

コンピューター技術やインターネットの発展に伴う組織のIT化は、医療においても例外ではありません。
今やどの医療機関でも、電子化された媒体が数多く使われています。
今回の改正において、「診断や治療などのプログラムやそれらを記録した記録媒体」について、規制が設けられました。

これらの機能に障害が生じ、人の生命や健康に影響を及ぼすおそれがある場合には、医療機器に指定して制限を受ける、というものです。
これまで医療機器に組み込まれたソフトウェアのみ規制対象で、ソフトウェア単独では規制されていませんでした。
今回の改正により、医療機器に組み込まれていないソフトウェアも医療機器プログラムとして規制されることになりました。

これに伴い、プログラム開発者やこれを記録した記録媒体を製造する製造業および製造販売業は、これまでの医療機器と同様に、一般医療機器や管理医療機器、高度管理医療機器などに準じたリスク種類に応じて、許可が必要になりました。
加えて販売に関しても、医療機器プログラムを電気通信回線によって提供する場合には、販売業として取り扱われることになり、こちらも分類に応じて許可や届け出が必要になりました。

他にも細かい改正点はいくつかあります。
時間をみて自分でも調べてみましょう。