点眼薬が中心に処方される眼科領域。点眼薬の使い方はどれもほぼ同じなので、簡単な処方が多く薬剤師の仕事とは遠いイメージがあるかもしれません。しかし、点眼薬の種類は近年増えてきており、1人で何種類も点眼しなければいけない患者さんも多く、実は複雑になってきている領域です。
では、眼科医から薬剤師はどのように見られているのでしょうか。3人の眼科医(A、B、C*敬称略)にお話を伺いました。
眼科医の仕事内容とは?
仕事内容を教えてください。
Aさん)私は大学病院の眼科に勤めています。元々は外科志望でしたが、研修医のときに、人間にとっての目の重要性に気がつき、目の外科手術の腕を磨きたいと思い、眼科へきました。今は主に白内障の手術を行っております。
Bさん)私は眼科のクリニックを開業しています。うちのクリニックはご高齢の患者さんが多く、緑内障や白内障が大半です。たまにお子さんがものもらいなどで来院されます。まだそれほど進行していない方が多く、薬で進行をとめるという治療選択が多いです。
Cさん)私は眼科の中でも、視覚矯正を専門としたクリニックに勤めています。医学生のときには、眼科は死なない科だと少々安易に考えていた部分がありましたが、それは大間違いでした。レーシックなどの視覚矯正は今、安全性の議論も活発になっており、日々緊張感がある仕事です。
進化する眼科領域の治療
近年の眼科領域の特徴を教えてください。
Aさん)眼科は実は扱う疾患の種類が多く、かつ目という繊細な器官を扱うため、細かい技量が要求される領域です。
以前白内障の手術をした患者さんが、「視界が奪われることは死ぬことよりも辛い」と仰っていて、眼科治療の難しさや意義を言い得て妙な言葉だと思ったことがありました。
Bさん)どの職種についたとしても、コンピューターとずっとにらめっこしなければいけない現代人は、目を以前より酷使しているように感じます。超高齢社会も相まって、目の疾患は今後さらに増えるのではないでしょうか。それに伴い薬の種類も増えていきますので、薬剤師さんをとても頼りにしています。
Cさん)視覚矯正分野では、レーシックなどのいわゆるレーザー治療だけにとどまらず、この治療では難しい強度の近視にも効果が高いアイシーエル*1やオルソケラトロジー*2など、治療が多角化してきています。安全性も向上してきており、患者さんの選択肢が広がっていると感じます。
*1 角膜除去後、眼内に直接コンタクトレンズを装着する治療。
*2 夜間に専用のコンタクトレンズをしたまま寝ることで、寝ている間に角膜の形が矯正され、日中はコンタクトを外して裸眼で過ごせるようになるという治療。
眼科医と薬剤師の連携、こんな場面で重要に!
薬剤師との関わり方で、印象に残っているエピソードはありますか?
Aさん)まだ眼科医になって間もない頃、1人の患者さんが目の不具合を訴えて来院されました。患者さんは少し脳の障害を抱えている方で、質問の受け答えに多少不安が残りましたが、他には何も疾患なしと仰っていたため、症状から判断し、疲れ目用の薬や内服のビタミン剤などを処方して様子見としました。
その後、処方箋を持って行った先の薬局から電話があり、患者さんは糖尿病を患っており、糖尿病網膜症の疑いがあることがわかりました。
聞くと、そこは患者さん行きつけの薬局だったそうで、薬剤師さんが他科の受診状況を把握していました。医薬分業の中では薬剤師はやはり絶対必要な存在だと再実感しました。
Bさん)以前、点眼薬を長期間使っているのに、一向に症状がよくならなかった患者さんがいました。実際は薬を使ってないのではないかと思い、この頃は院内処方だったため院内で残薬を確認しました。複数種類の点眼剤を処方していましたが、確かにすべて点眼していました。
その後一度院外処方となったことがあり、薬局からの電話で、患者さんはいくつかの点眼剤を同時に点眼していたことがわかりました。薬局のほうできちんと5分ずつ間隔をあけるよう指導してくださり、その後患者さんが再来した際には、症状が良くなっていました。
私たち医師が当たり前だと思っていても、患者さんにとってはそうではないことがあるのだと気付かされましたし、やはり薬剤師は薬のプロであり、患者さんのために必要な役割だと感じました。
Cさん)私も似たような事例ですが、以前レーシックの手術を受けに来られた患者さんのことです。他科受診や持病はなしと仰っていましたが、言動に明らかな違和感がありました。お薬手帳をお出しになっていたので確認すると、1年ほど前の精神科の処方のシールが貼ってありました。
念のため薬局に問い合わせたところ、何とわずか3日前に精神科の薬を処方されていたことが判明しました。お薬手帳シールは患者さんが貼り忘れていたようです。
精神科治療中の方は手術ができないため、危ういところでした。お薬手帳の重要性や、薬局・薬剤師の存在意義を改めて認識しました。



