コロナ禍で一気に広まったオンライン服薬指導ですが、あれから数年以上が経過する中でいろいろと進化してきています。今回は最新のオンライン服薬指導について復習してみましょう。

オンライン服薬指導の流れを再度見てみよう!

現在のオンライン服薬指導の原点とも言える、コロナ禍の2020年に始まったいわゆる「0410対応」に関しては、2023年7月をもって終了しました。この終了前に行われた2022年4月の薬機法改正において、0410対応と併存して、新たな形式のオンライン服薬指導が誕生しました。0410対応が終了した2023年8月以降は、新たに始まったオンライン服薬指導での対応一本になりました。ただし、0410対応にほぼ準じる形にはなっています。ただ1点、0410対応と違っているのは、「映像及び音声による対応」が必須事項になったことでしょう。

この「映像及び音声」とは、具体的に表現すると「ビデオ通話」のことになります。スマートフォンやパソコンで気軽に利用できるようになったというのがかなりの利点です。裏を返すと、デジタル機器が苦手な高齢の患者さんには普及しにくいという特徴もあると言えます。

新しいオンライン服薬指導の特徴とは?

オンライン服薬指導がここまで広まった背景には、多くのメリットがあるからと言えます。何より、待ち時間や移動時間がいらない、そのために交通費もかからないし、インフルエンザなどの感染リスクがないなどが大きなメリットでしょう。これまでは、オンライン服薬指導を受けるにしろ、一度は必ず対面にて服薬指導を受けなければいけなかったのですが、現在は、対面を省略していきなりオンライン服薬指導が受けられるような体制になっています(ただし薬剤師の判断と責任の下で対面という判断も可能)。

例えば、クリニックで対面の診療を受けてから、服薬指導だけはオンラインでということも可能となります。その半面、デメリットももちろんあり、ビデオ通話だとどうしても詳細な体調や検査をするなどができないため、正確な診断が下せないという面もあります。

オンライン服薬指導は軽度な症状向けのものと言えます。加えて、薬の受け取りが郵送の場合には流通状況によって少し時間がかかる場合もあります。急ぎの際には薬局まで取りに行くことも可能ですが、これだと結局オンライン服薬指導のメリットをあまり活かせないということにもなってしまいます。

オンライン服薬指導を実施する際の条件とは?

前述した特徴を踏まえて、オンライン服薬指導を行うための条件というものがあります。オンライン服薬指導においては、対面以上に、併用薬や服薬コンプライアンスをきちんと確認することが求められます。加えて、オンライン服薬指導を希望したとしても、薬剤師の判断と責任により、対面に切り替える場合があることや情報漏洩が起こった際の責任の所在を明確化することも必要となります。

なお、かかりつけ薬剤師やかかりつけ薬局で行われることが望ましい、情報セキュリティなどに関する知識があるスタッフを配置する、薬を配送する際にきちんと品質を担保して受領確認を正確にするなども重要です。

薬剤師に求められることは?

オンライン服薬指導においては、対面とは違った能力が当然必要とされます。まずはこれまで以上のコミュニケーション能力や気遣い力が必須となります。対面の場合には、実際の患者さんを直接見ながら行えるのですが、オンラインだとそうはいきません。

加えて、パソコン遂行能力はもちろんのこと、ネットワークやセキュリティなどのITリテラシーに精通する必要があります。オンラインの場合には、途中で画面が固まったり、突然画面が消えたり、はたまた音声が乱れたりするといったトラブルが少なくありません。そういった状況をすぐに回復させる能力がないと、どんなに薬や病気の知識があったとしても、患者さんからの信頼が得られないと考えられます。

IT系の国家資格(ITパスポート試験)などを勉強してみるところから始めると良いでしょう。もしご自身では無理ということなら、ITに強い人材を積極的に採用すると良いでしょう。つまり、今後の薬局において、オンライン服薬指導は避けて通れないので、IT人材の配置が必須となってくることでしょう。ぜひITに強い薬剤師を目指してみてください。

オンライン服薬指導時の注意点とは?

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